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空き家を売却する際の注意点!流れや費用もわかりやすく解説
空き家を取得した方の中には、特に使用する予定がなく、売却を検討している方も多いのではないでしょうか。空き家の売却では、自己所有の不動産売却とは異なる点があるため、注意点を押さえておくことが大切です。この記事では、空き家を売却する前後における注意点、空き家を売るまでの流れ、空き家を売る際にかかる費用などを解説します。空き家の売却を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
空き家を売却する前の注意点
空き家の売却は自己所有の不動産売却とは一部異なる点があります。トラブルを回避するためにも、売却する前と後の注意点を事前に把握しておくことが重要です。
空き家を売却する前の注意点として、以下の7つが挙げられます。
- 空き家の名義を変更しておく
- リフォームや解体はしないほうが良い場合もある
- 空き家を売却すると費用がかかる
- 余裕を持ったスケジュールを立てる
- 売却価格は相場を調べた上で設定する
- 査定は複数の不動産会社にお願いする
- 不動産売買契約書を確認する
それぞれの注意点について詳しく見ていきましょう。
空き家の名義を変更しておく
空き家の売却では、売却を進めようとする人に空き家の名義を変更しておかなくてはなりません。その理由は、不動産の売却では、原則登記簿に記載されている名義人が売買契約を締結する必要があるためです。
そのため、空き家の名義が元の所有者のままになっている場合は、名義人以外が勝手に売却することはできないのです。売却するには名義の変更が必要なので、売却前に必ず変更しておきましょう。
リフォームや解体はしないほうが良い場合もある
空き家をリフォームや解体をすることで、想定とは異なる結果になる可能性があるので注意が必要です。
売却する前にリフォームをすれば買主は購入後すぐに入居できる、解体すれば買主は購入後すぐに家を建てられるので売却が有利になると考えている方も多いのではないでしょうか。しかし、必ずしも有利になるとは限りません。もし、それでも売れなければリフォーム費用や解体費用の負担が増えるだけになるのです。
また、解体した場合、建物がなくなることで住宅用地の特例の適用外になり、土地の固定資産税の負担が増加します。最適な選択肢とは言えないため、独断で実行せず、不動産会社に相談しながら進めましょう。
空き家を売却すると費用がかかる
空き家を売却する際はさまざまな費用がかかり、買主から支払われる売却代金の全てが手元に残るとは限りません。
例えば、空き家を売却する際には、不動産会社に仲介を依頼した場合は仲介手数料、売買契約書に貼付して納める印紙税、抵当権抹消登記費用などが発生します。
費用の詳細については後述しますが、空き家の売却代金を何らかの形で利用することを予定している場合は、売却時に費用がどのくらいかかり、手元にどのくらいの費用が残るか確認しておきましょう。
余裕を持ったスケジュールを立てる
空き家を売り出してもすぐに買主が見つかるとは限りません。不動産を売却する際は、事前準備に1か月程度、買主と売買契約の締結に至るまでに3~6か月程度、不動産の引き渡しが完了するまでに1~3か月程度を要します。
空き家を売却する際に課される譲渡所得税の特例措置を受けるためには、住まなくなった日から3年目の年末までに売却する必要があります。余裕を持ったスケジュールを立てないと、期日までに売却できない可能性があるので注意が必要です。
売却価格は相場を調べた上で設定する
空き家を売り出す場合は、事前に相場を調べておくことが重要です。「不動産会社に査定を依頼すればいいのでは?」と考えた方も多いのではないでしょうか。しかし、不動産会社の査定が正確とは限りません。
相場と不動産会社の査定結果に乖離があった場合、理想の売却結果とはならない可能性があります。適切な価格を設定して空き家を売り出すには、類似物件がどのくらいの価格で売り出されているか、過去にいくらで取引されたかなどを事前に自分で調べておくことが重要です。
査定は複数の不動産会社にお願いする
不動産会社に査定を依頼する際は、複数の不動産会社にお願いすることが重要です。その理由は、1社だけに査定を依頼しても、その査定結果が適切かどうか判断できないためです。
不動産会社によって査定で重視するポイントは違います。そのため、査定結果にも差が生じます。複数の不動産会社に査定を依頼すれば、平均値から適切な価値を判断できるほか、実績や担当者との相性などを踏まえながら信頼できる不動産会社に仲介を依頼できるでしょう。
不動産売買契約書を確認する
空き家の売却で注意しなければならないのが契約不適合責任です。契約不適合責任とは、売買契約締結後に売買契約書に告知事項として記載されていない欠陥が見つかった場合に、売主が負わなくてはならない責任のことです。
契約不適合責任では、買主は売主からの損害賠償請求や売買契約の解除に応じる、修理費を支払うといった責任を負わなくてはなりません。売却後のトラブルを回避するためにも、不動産売買契約書の内容を事前に確認しておくことが大切です。
空き家を売却した後の注意点
空き家の売却では、売却後も以下の2つの点に注意が必要です。
- 売却した翌年に確定申告が必要
- 控除の申請は期限内に行うこと
それぞれの注意点を詳しく解説していきます。
売却した翌年に確定申告が必要
空き家の売却によって利益が生じた場合は、売却益に対して譲渡所得税という税金が課されるため、確定申告を行う必要があります。譲渡所得税とは、所得税、住民税、復興特別所得税の総称です。譲渡所得税の税率は、不動産を売却した年の1月1日時点で5年を超えているかどうかによって変化します。
一方、損失が生じた場合は、譲渡所得税が課されることはないので確定申告も不要です。しかし、損失については確定申告を行えば、給与所得などと損益通算することによって節税効果が期待できる可能性があります。原則不要ですが、確定申告したほうが良いでしょう。
控除の申請は期限内に行うこと
空き家を売却した場合、一定の条件を満たしていれば、相続空き家の3,000万円特別控除を利用できます。これは相続や遺贈によって取得した居住用の不動産を売却する場合において、譲渡所得額から最高3,000万円の控除を受けられるものです。
相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却するといった条件があり、いつでも控除を適用できるわけではありません。
また、相続税を支払って取得した不動産を一定期間内に売却した際に相続税額の一部を取得費にできる相続財産を譲渡した場合の取得費の特例もあります。これらの控除や特例を利用する際は確定申告が必要であるため、期限内に申請を忘れずに行いましょう。
空き家を売るまでの流れ
空き家の売却をスムーズに行うには、事前に空き家を売るまでの流れを把握しておくことが大切です。空き家を売るまでの流れは以下の6つのステップです。
- 不動産のおおよその相場の調査
- 不動産会社に査定を依頼
- 不動産会社と媒介契約の締結
- 売却活動
- 買主と売買契約の締結
- 残代金の受け取りと物件の引き渡し
まずは不動産のおおよその相場を自分で調べます。類似物件の売出価格や過去の取引事例を参考にしながら相場を確認しましょう。続いて不動産会社に査定を依頼します。不動産会社によって査定結果が異なるため、複数の不動産会社に査定を依頼するのがポイントです。
査定結果や不動産会社の実績、担当者との相性などを踏まえながら仲介を依頼する不動産会社を選び、媒介契約を締結します。その後、不動産会社が主体となって売却活動を進め、購入希望者が現れた場合は、売買契約の締結に移行します。
売買契約書に記載された引き渡し日に残代金の受け取りと物件の引き渡しをすれば売却が完了です。
空き家を売る際にかかる費用
空き家を売る際にかかる費用として、以下のような費用が挙げられます。
- 仲介手数料
- 印紙代
- 抵当権抹消登記費用
- 譲渡所得税
仲介手数料とは、不動産会社に仲介を依頼する際に支払う費用です。売却価格が400万円を超える場合は「物件価格×3%+6万円+消費税」の速算式で算出できます。
印紙税は売買契約書のような課税文書を作成する際に課される税金です。売買契約書に記載された契約金額により税額は変化しますが、1~3万円程度が目安となります。
抵当権抹消登記費用とは、空き家に設定されている抵当権を抹消する場合にかかる費用です。抵当権がない場合は不要です。1つの不動産につき1,000円かかるため、土地と建物で2,000円かかります。また、抵当権抹消登記の手続きを司法書士に依頼する場合、数万円程度の司法書士報酬が追加で必要です。
また、空き家の売却によって利益が生じた場合は、売却した年の1月1日時点の所有期間によって以下のような譲渡所得税が課されます。
- 短期譲渡所得(所有期間5年以内):39.63%
- 長期譲渡所得(所有期間5年超):20.315%
リフォームする場合や空き家を解体する場合は、それぞれ実費がかかるので注意しましょう。空き家の売却について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
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空き家に関連する相続トラブル、近隣トラブルといった問題にも対応しているため、空き家の売却でお悩みの方は、是非一度ご相談ください。
空き家の売却は一般的な不動産の売却とは一部異なります。スムーズかつトラブルなく売却するには、空き家の売却の注意点や売却の流れなどを把握しておくことが大切です。また、空き家を売却する際は、一定の要件を満たすことで、相続空き家の3,000万円特別控除といった控除や特例を利用できます。税負担を軽減できるのが魅力ですが、利用するには要件を満たすほか、期日までに手続きが必要なので事前に要件、期日を確認しておきましょう。
おわりに
空き家の売却は一般的な不動産の売却とは一部異なります。スムーズかつトラブルなく売却するには、空き家の売却の注意点や売却の流れなどを把握しておくことが大切です。
また、空き家を売却する際は、一定の要件を満たすことで、相続空き家の3,000万円特別控除といった控除や特例を利用できます。税負担を軽減できるのが魅力ですが、利用するには要件を満たすほか、期日までに手続きが必要なので事前に要件、期日を確認しておきましょう。