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【FP監修】団信に入れないと住宅ローンは組めない?

監修者氏名 熊谷正和(くまがやまさかず)
保有資格 CFP(日本FP協会認定)、1級ファイナンシャルプランニング技能士
所属 ライフアート・コンサルティング株式会社
監修日 2022年12月06日

住宅ローンの団信とは何なのか、そもそも加入は絶対条件なのか、加入できない場合はどうしたらよいのかなど、団信についての様々な疑問について解説します。

団信(団体信用生命保険)とは?

正式名称は「団体信用生命保険」ですが、一般的に「団信」と略して呼ばれます。住宅ローンの契約者にもしものことがあっても、家族に住宅ローンによる経済的な負担が残らないように備えることができる保険です。

(1)団信とは?

住宅ローンの返済期間中、契約者の死亡もしくは高度障害によって返済不能に陥った場合、団信に加入していれば、保険会社が契約者やその家族に代わって残りの住宅ローンを支払います。
住宅ローンの返済期間中にずっと健康でいられる保証は誰にもありませんし、事故など突発的なアクシデントに見舞われてしまう可能性もゼロではありません。

団信は、こうした不測の事態に備えておくことができる安心の保障制度なのです。

(2)団信のメリット

団信には、以下4つの大きなメリットがあります。
・返済期間中に万が一の事態が起きても住宅ローンを弁済してくれる
・残された家族は住宅ローンを気にせずに住み続けられる
・保険料は住宅ローン金利に含まれているので別途負担の必要がない
・3大疾病保障など各種特約が付帯する団信もある

住宅ローンの契約者にもしものことがあった際、通常の生命保険で保険金を受け取ったとしても、そのほとんどを住宅ローンの返済に充てなければならない状況だと、残された家族は経済的困窮に直面してしまう恐れがあります。

また、生命保険に加入していなかったケースや、受け取る保険金が少ないケースでは、残された家族はマイホームを手放さざるを得ない状況になってしまうことも考えられます。
住宅ローンの契約時に団信へ加入しておけば、こうしたリスクを回避できるというメリットがあるのです。

(3)金融機関の住宅ローンでは団信加入が必須条件

通常、銀行など民間の金融機関で住宅ローンを利用する際は団信への加入が必須条件で、加入には審査があります。
契約者の病歴によっては審査に通過できないこともあり、審査に通らないと住宅ローンの契約自体ができなくなります。

どんな人が団信に入れない?

(1)団信の審査基準とは?

団信の審査は、契約者の健康告知をもとに進められます。
・所定の期間内に、医師の指示や指導などによる投薬を受けた
・所定の期間内に、所定の病気による手術を受けた
・所定の病気により、一定期間以上医師の治療や投薬を受けた
・手足の欠損や機能障害、背骨・視力・聴力・言語・咀嚼等の各機能障害がある

団信の詳細な審査基準は保険会社によって異なりますが、おおむね上記に該当すると団信への加入審査に影響があります。

告知が必要な病気は告知書に具体的な記載がありますが、主なものとしては心臓・脳・胃腸・肝臓・腎臓など内臓の病気のほか、がんや呼吸器疾患、婦人科系の疾病、免疫疾患などがあります。また、近年では精神疾患に対する審査も厳しくなってきています。

ただし、告知後の審査結果は保険会社ごとの基準や現在の健康状態によって差があります。同じ告知内容でも、保険会社によって審査に通過できるところもあれば、審査に落ちてしまうところもあります。

(2)告知について、告知義務違反のリスク

告知が必要な病歴に該当する際は、入院や手術など詳細な内容を告知しなければなりません。告知内容は自身の健康状態を正直に申告する必要があり、その内容に応じた審査が行われます。

事実とは異なる告知をしてしまうと、告知義務違反としてせっかく審査に通過した団信の契約が解除されてしまう恐れもあります。もちろん、団信の契約が解除されてしまうことによって住宅ローンの契約も不可能になってしまいます。

仮に、すでに住宅ローンの契約が済んでしまっているケースでは、残債の一括返済を求められることもあり、それによってマイホームを手放さなければならないリスクも生じます

団信に入れない場合の対処法とは?

(1)ワイド団信

団信の加入条件を緩和して、団信に入れなかった人でも加入できるようにしたのが「ワイド団信」です。ワイド団信なら、持病があっても通常の団信に比べて加入できる可能性が高まります。

しかし、団信に入れなかった人のすべてがワイド団信に加入できるわけではなく、審査によっては加入不可になることもあります。ワイド団信の明確な審査基準は一般に知らされていないため、実際に申込みをしてみなければわからないのが実情です。

さらに、ワイド団信を取り扱っていない金融機関が多いので、借入先の選択肢が狭まってしまうこと、通常の団信に比べて上乗せされる保険料が高いため総返済額が増えてしまうなどのデメリットがあります。

(2)配偶者名義の契約

団信、ワイド団信のどちらにもにも加入できなかった場合、住宅ローンの契約者を配偶者の名義にしてしまうという思い切った方法もあります。

さらに、連帯保証型や連帯債務型といったタイプの住宅ローンなら夫婦連名で契約でき、どちらか健康状態の良い方を主たる契約者にすれば団信に加入できます。

ただし、いずれの方法でも配偶者が給与所得者である必要がありますし、住宅ローン審査に通るレベルの収入や団信の審査に通る健康状態であることが必要です。その条件をクリアできれば選択肢として有効な手段です。

(3)団信なしの住宅ローン

住宅ローンの審査に通過できるだけの信用性はあるものの、健康状態が理由でどうしても団信に加入できなくて困っている場合は、団信への加入が不要な住宅ローンを選択することで解決できます。

フラット35

住宅金融支援機構の取り扱っている「フラット35」は団信加入が任意のため、団信に加入せずに住宅ローンの契約が可能です。団信へ入ることを義務付けていないため、契約時に団信の心配をする必要がありません。

ただし、保障なしに何千万円もの債務を抱えるので、住宅ローン契約者が死亡または高度障害といった事態に陥った際には多額の残債が負担となり、結果的にマイホームを手放さなければならなくなる可能性がある点については注意が必要です。

フラット35と民間の住宅ローンの主な違い

スクロールできます
フラット35民間の住宅ローン(金融機関・ノンバンク)
融資限度額は8,000万円融資限度額は数億円まで可能
金利が一定で返済計画が立てやすい彩な金利タイプから選べる
固定金利なので低金利で利用できないフラット35よりも低金利で利用可
初期費用として融資手数料が必要金融機関ごとの特典が付帯する場合がある
繰り上げ返済は最低100万円が必要繰り上げ返済は任意の金額から可能
基準をクリアしていない住宅では借りられない物件によっては中古住宅でも利用できる
自営業や個人事業者でも借りやすい自営業や個人事業者は借りづらい
団信への加入は義務ではない金融機関は団信への加入が必須
返済期間は15年以上35年以内(申込時60歳以上は10年以上)返済期間は1年単位で設定ができる

フラット35は借りられる金額が民間の住宅ローンに比べて少なく、返済期間も最低15年以上(60歳未満の場合)から設定する必要があります。

セゾンファンデックスの住宅ローン

金融機関以外でも、セゾンファンデックスなど一部の民間ローンなら団信へ入らずに住宅ローンを組めます。
保障のない状態で住宅ローンを利用することになりますので、死亡などのリスクを考慮して死亡保険などへの加入を検討するといった対策を講じておくのがおすすめです。

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