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【FP監修】永住権なしでも組める住宅ローンとは?
監修者氏名 | 熊谷正和(くまがやまさかず) |
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保有資格 | CFP(日本FP協会認定)、1級ファイナンシャルプランニング技能士 |
所属 | ライフアート・コンサルティング株式会社 |
監修日 | 2022年12月06日 |
日本で働く外国人が増え、日本で家を買いたいという方も増加しています。ただし永住権なしだと日本の銀行は住宅ローンの融資をしない場合があります。ここでは永住権なしでも利用できる住宅ローンをご紹介します。
在留外国人は増加傾向
日本には日本国籍を持たない外国籍の方も多く住んでいます。
出入国在留管理庁から発表された最新の在留外国人数は2020年6月時点で約288.5万人でした。新型コロナウィルスの影響で過去最高を記録した2019年12月末時点より4.8万人ほど減少に転じましたが、1990年代からおおむね増加傾向にあります。在留外国人数が日本の総人口に占める割合も全国平均で2%を超えています。
関連リンク:e-Stat「2020年6月在留外国人統計」
もちろん少子高齢化による日本の人手不足が解消したわけではなく、今後も外国人労働者は増え続けるでしょう。日本の労働力人口が減少する中、現在の経済規模を将来的に維持するためには、外国人労働者の受入れが必要だからです。
これだけ多くの外国人が日本で暮らしていますので、日本に長く住むことを考え、日本でマイホームを購入して生活したいと考える人も増えています。外国籍の人が日本で住宅を購入する際、日本の金融機関で住宅ローンを組むことはできるのでしょうか。外国人が住宅ローンを組むための条件や、その審査内容などについてご説明します。
外国人が住宅ローンで融資を受けるには?
諸外国の中には、外国人の不動産所有を認めていないケースもありますが、日本では、外国人であっても日本人と同様に不動産を購入することができ、所有権も認められています。目的は居住用・投資用どちらでも、購入は可能です。実際に、2020年1-9月の東京圏への商業用不動産投資額が世界首位となったニュースを耳にされた方もいらっしゃるでしょう。
ただし、実際の不動産購入にあたっては、無論のこと「お金が必要」です。一括で購入できるだけの現金があれば別ですが、たいていの方は住宅ローンを組んで不動産購入資金を準備しなければなりません。
では外国人の方は住宅ローンが組めるのでしょうか。
結論から言いますと、永住権がなければ住宅ローンを組める金融機関が限られてしまいます。
住宅ローンは一般的に数千万円というお金を借り、数十年と長期にわたって返済をするローンです。そのため、永住権がないと組めないケースが大半です。なぜなら、数年後に自分の国に帰国してしまっては住宅ローンの回収が難しくなり、金融機関は大きなリスクを抱えることになってしまうからです。
外国人の方が住宅ローンを組む場合は、永住権あり・永住権なしが大きなポイントになります。永住権がある場合は、一般的な日本人と同じ基準で住宅ローンが利用できます。きちんと返済できるかという点から、年収に占める返済額がどれくらいあるか、他からの借入金の有無、勤続年数や勤務形態などが審査されます。
永住権を取得するには?
日本に長く住む予定でマイホーム購入をしたいのであれば、永住権を取得することが最も確実な方法ともいえます。永住権の取得には以下の3つの条件が必要です。
❶素行が善良であること
法律を守り、社会から非難されることなく日常生活を送っていることが求められます。
❷独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
公的支援などに頼らず、資産・収入・身につけている技能から、将来において安定した生活が見込まれることが必要です。
❸その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
日本国の利益になるには、さらに次の点を満たす必要があります。
・10年以上日本に在留していること(特例あり)、かつ、そのうち5年以上は就労あるいは居住資格をもって在留していること
・罰金刑や懲役刑などを受けていないこと
・納税・保険料の納付や出入国管理法等に定める届出義務を履行していること
・現在の在留資格が最長の在留期間であること
・公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと
安定した収入があり、健全な生活を送っていれば、永住権は取得することが可能です。ただし、審査に約4ヶ月かかるとされていますので早めに申請した方がよいでしょう。
関連リンク:出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン」
永住権なしで住宅ローンを組むには?
永住権がとれる段階にある方は取得後に住宅ローンを申込むことをおすすめします。永住権を取得することで住宅ローンを組める可能性が高くなります。一方、永住権を持っていなければ住宅ローンを絶対組めないのかといえば、そうではありません。
日本のいくつかの金融機関では、日本人もしくは永住許可を有している配偶者が連帯保証人になることで、住宅ローンが組める場合もあります。
2人とも永住権がない外国人同士の夫婦でも住宅ローンが組める金融機関もありますが、非常に少ないのが現状です。
自己資金を用意できること、在留年数が一定期間経過していること、勤続年数が一定以上で安定した収入があること、といった条件を満たすことが必要です。条件を満たしていれば、永住権がなくても住宅ローンの審査が受けられます。金融機関よって具体的な条件やご本人がその条件に該当するかどうかは変わってきますので、直接問合せをすることをおすすめします。
永住権なしで日本での住宅購入を検討している外国人や、永住権をもたない配偶者がいる人は、できるだけ外国人でも審査に通りやすい金融機関を選ぶとよいでしょう。
自己資金を多めに準備して返済負担率を減らすと審査に通りやすくなることもあります。