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マンション管理費の滞納にはどう対応したらいい?回収方法を解説
目次
マンション管理費の滞納は、マンションの運営に大きな影響を及ぼします。また、滞納されいる管理費の回収には時効があるため、早めに対策することが大切です。本記事では、滞納の現状理解から対処法、予防策までを詳しく解説します。マンション管理費の滞納に困っている管理組合の方は、ぜひ参考にしてみてください。
マンション管理費の滞納とは
マンション管理費の滞納とは、居住者が定期的に支払うべき管理費や修繕積立金を期日までに支払わない状態を指します。そもそもマンション管理費とは、共有部分の維持管理や将来の大規模修繕に備えるために必要な資金で、管理組合がこれを徴収します。マンションの快適な生活を支えるために、不可欠な費用なのです。
マンション管理費の滞納状況
国土交通省が公表している「平成30年度マンション総合調査結果」によると、マンションの管理費や修繕積立金を滞納している住戸がある管理組合の割合は、以下の通りです。
- 3ヶ月以上滞納:24.8%
- 6ヶ月以上滞納:15.2%
- 1年以上滞納:16.4%
マンションの管理費や修繕積立金の滞納は、コロナ禍から続いている経済の長期的な低迷なども要因となり、増加傾向にあるといわれています。もちろん、その要因は、経済的な理由だけではなく、単純な支払い忘れなども含まれます。
長期間にわたる滞納は、管理組合の財政状況に重大な影響を及ぼし、結果的に他の所有者への負担増やマンション価値の低下につながる恐れがあるため、早急な対策が必要です。
マンション管理費の役割
マンション管理費には、マンションの共有部分や共用設備の維持・修繕、美観の維持、セキュリティの維持・向上など、居住者が安心して快適に生活できる環境を提供するための重要な役割があります。また、修繕積立金は、建物の長寿命化を図り、資産価値を保持するためにも重要です。
管理費の滞納で起こり得る問題
管理費の滞納が続くと、共有部分のメンテナンスが行えなくなり、建物全体の価値が下がることがあります。最悪の場合、管理組合の運営が困難になり、建物の安全性や居住者の生活品質に重大な影響を及ぼす可能性があります。滞納を防ぐためには、管理規約に遅延損害金について明記し、時効の成立を防ぐ措置を講じることが重要です。また、管理組合の財政状況が悪化すると、結果的に他の所有者への管理費や修繕積立金の増額を余儀なくされることもあります。
滞納問題に対処する方法としては、督促状の送付や法的手続きの実施などがあります。また、滞納者が駐車場や駐輪場を利用している場合は、これらのサービスの解約を検討することも一つの方法です。
滞納されたマンション管理費の請求には期限がある
滞納されたマンション管理費の請求には、法的な期限、つまり「時効」が設けられています。管理費の支払いを求める権利が一定期間行使されない場合に、その権利が消滅するルールです。
マンション管理費の請求権に関する時効期間は、通常、支払期日から5年間です。これは、滞納された管理費について、最後の支払期日から数えて5年が経過すると、その請求権が時効により消滅することを意味します。ただし、滞納者が管理費の支払いを認めた場合、時効は中断され、新たに時効期間が開始します。
5年の期限を過ぎてしまうと、管理組合は滞納された管理費を法的に請求することができなくなります。つまり、何も行動を起こさずに5年が経過すると、管理組合は滞納金を回収する権利を失い、結果的にその金額を請求することが不可能になるのです。
このため、マンション管理組合は、滞納が確認された場合、速やかに対応を取り、時効が成立する前に適切な措置を講じる必要があります。
マンション管理費の滞納が発生した場合の対応方法
マンション管理費の滞納が発生した場合、管理組合や管理会社は迅速に対応することが重要です。以下は、滞納が確認された際の一般的な対応の流れです。
- 管理会社に状況を確認し督促を行う
- 管理組合から内容証明による督促を行う
- 法的措置の検討
以降で詳しく解説します。
管理会社に状況を確認し督促を行う
まずは、滞納が発生した事実をマンションの管理会社が把握し、滞納者に対して支払いを促します。具体的には、管理会社の担当者が滞納者に連絡を取り、滞納の理由を聞き出し、支払いの催促を行います。これには、電話や訪問、書面による督促が含まれます。
管理組合から内容証明郵便による督促を行う
督促状を送付しても滞納が続く場合は、マンションの管理組合がより公式な手段として内容証明郵便を用いて督促を行います。内容証明郵便による督促は、後の法的手続きでの証拠となり得るため、非常に重要です。この手続きは、管理組合の代表者または管理組合が指定した担当者が、内容証明郵便の形式で正式な支払い請求を行います。
法的措置の検討
滞納者がここまでの督促に応じない場合、管理組合は法的措置を検討します。具体的には、管理組合が弁護士と相談し、支払督促や訴訟提起、強制執行などの手続きを進めることを意味します。法的措置を取ることで、裁判所を通じて滞納管理費の回収を試みるのです。これには、滞納者の財産に対する差し押さえや、最終的には競売にかけることも含まれる場合があります。
これらの措置は、滞納問題を解決し、マンションの財政健全性を維持するために不可欠です。特に内容証明郵便による督促や法的措置は、滞納問題が繰り返される場合や大きな金額が関わる場合に重要な役割を果たします。管理組合としては、滞納が発生した際には、迅速かつ適切な対応を心がける必要があるでしょう。
管理費の滞納を防ぐ方法
マンション管理費の滞納を防ぐ方法としては、主に以下3つの方法があります。
- 滞納が発生した場合のマニュアルを作成しておく
- 滞納時の罰則について居住者に周知しておく
- 回収方法を口座振替にする
以降で詳しく解説します。
滞納が発生した場合のマニュアルを作成しておく
滞納が発生した場合のマニュアルを作成することは、管理組合が迅速かつ一貫した対応を行うために重要です。マニュアルには、滞納が発生した際の連絡手順、督促の方法、法的措置への移行基準などが含まれます。滞納を防ぐためには、居住者が管理費の支払いを怠った場合にどのような手順で対応されるかを明確にすることが抑止力となるでしょう。
滞納時の罰則について居住者に周知しておく
滞納時の罰則を居住者に周知することも、滞納を未然に防ぐための重要な手段です。罰則には遅延損害金の請求や、最終的には法的措置に移行することが含まれるケースがあります。これらの罰則があらかじめ周知されていることで、居住者は管理費の支払いをより真剣に受け止めるようになるでしょう。
回収方法を口座振替にする
回収方法を口座振替にすることで、管理費の回収を自動化し、滞納のリスクを減らすことができます。口座振替は居住者が毎月の管理費を手動で支払う手間を省き、管理組合は安定的な回収ができるため、管理費の滞納を防ぐ効果的な方法です。
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おわりに
この記事では、マンション管理費の滞納状況や滞納が発生した際の対処方法、また滞納を防ぐ方法などについて解説しました。滞納問題は早期の対応が鍵となります。
また、マンション入居者にとっても管理費の滞納は、大きなデメリットになり得ます。管理費の支払いが困難な場合は、速やかに管理組合などに相談し、「マンション管理費等の支払いサポート」などの利用を検討しましょう。