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底地を整理する5つの方法!メリットや注意すべきポイントも解説
土地を複数お持ちの場合、誰かに貸していることも珍しくないでしょう。しかし、そのような土地=底地がある場合、相続が発生したときにはトラブルの原因になりがちです。生前から、時間をかけて整理しておくのが望ましいでしょう。今回は、借地権が設定されている土地(底地)について、なぜ整理が必要なのか、進めるにあたっては何に気を付けるべきかについて詳しく解説します。
底地整理とは
底地整理は耳慣れない言葉かもしれません。しかし、誰かに貸している土地がある場合は、避けて通れない問題なのでしっかり理解しておきましょう。ここでは、基本的な用語の意味について詳しく解説します。
「底地」とは
底地とは、借地権が設定されている土地のことです。また、借地権とは家などの建物を建てるために地代を払って土地を借りる権利を指します。建物を建てることが前提の権利であるため、駐車場や資材置き場に使うために土地を借りる場合はあてはまりません。
「借地」とは
借地とは、文字通り「借りている土地」のことです。以下の図のように、同じ土地でも貸している側(地主)から見れば底地にあたりますが、借りている側(借地人)から見れば借地にあたります。
「底地整理」とは
底地整理とは、底地・借地権の法的関係を解消することです。つまり、土地を貸している(借りている)状態を解消し、地主または借地人が100%自分の土地として使えるようにすることを指します。
底地を整理するメリット・デメリット
底地を整理しておくことでさまざまなメリットがありますが、デメリットもあるので注意しなくてはいけません。メリットがデメリットを上回ると判断できるなら進めてみるのもひとつの方法です。こでは、メリットとデメリットについて詳しく解説します。
底地を整理するメリット
底地を整理するメリットは、以下の3点です。
(1)借地人とのトラブルを防ぐ
底地整理により、土地を貸すのをやめることになるため、借地人とのトラブルが避けられます。例えば、借地人との間に起こりうる以下のトラブルを避けることが可能です。
- 借地人が地代・更新料を払ってくれない
- 借地人へ地代の値上げ交渉をしたら断られた
- 借地人が無断で建物の増改築をするなど借地条件違反があった
(2)相続がスムーズになる
底地や借地権の相続は、土地を実際に使う借地人と所有する地主がいることから、権利関係が複雑になりがちです。このような性質上、以下のトラブルが起きがちになるため注意しなくてはいけません。
- 相続した底地を売りたくても買い手がつかない
- 底地を複数人の共同名義にしたため意見がまとまらず処分できない
- 借地人との地代値上げ交渉がまとまらない
また、底地は自由に使えない土地であるため、借地権が設定されていない土地に比べ、時価が低くなりがちです。それでも、相続財産であることに変わりはなく、相続税評価額に基づき相続税が計算されます。そのため、お子さんやお孫さんが時価に見合わないほど高い相続税を払う可能性も出てくることに注意しなくてはいけません。
相続が発生する前に底地整理を行い、土地を「借地権が設定されていない土地」にしておけば、これらの問題も一気に解決できます。
(3)税金の負担を抑えられる
底地を所有し、借地人から地代を受け取っている限りは固定資産税や所得税を払わなくてはいけません。また、前述したとおり、底地を相続すればその分の相続税もかかります。底地を売却すれば、当然、これらの税金はかかりません。ただし、売却する際にも印紙税や不動産譲渡税といった税金がかかることに注意が必要です。
底地を整理するデメリット
底地は売却しようにも買い手がつきづらく長期化する可能性があります。買い手がつきづらい理由としては、買い取っても借地人の意思に反して自由に使うことができないことが挙げられます。
したがって、売却価格も必然的に安くなり、買い手がついたとしても思うような取引とならない傾向にあります。
底地を整理する際に心がけておくこと
底地整理は地主の一存で行うわけにはいかず、かならず借地人と交渉をしなくてはいけません。借地人にとっては地主が変わったり、住む家がなくなり引越しを余儀なくされたりする可能性もある以上、慎重に進める必要があります。ここでは、底地を整理する際に心がけておくべきことを解説します。
売却するタイミングを見極める
底地整理をする際は、売却するタイミングを見極めることが大切です。売却にふさわしいタイミングをいくつか紹介します。
- 借地契約の更新時
- 借地権者が借地権を第三者に売却したいとき
- 地主や借地権者に相続が発生したとき
これらのタイミングであれば「次は更新しないでどこかに引越そう」「地主さんが変わりそうならここに住み続けることもない」など、借地人からの理解も得られやすくなります。
底地売買に強い不動産業者に依頼する
詳しくは後述しますが、底地のみ、もしくは借地権と底地を不動産業者に買い取ってもらうことで底地整理をする方法もあります。ただし、この場合は、底地売買を依頼する不動産業者選びにも注意が必要です。
そもそも、底地は利用に際して制約が加わるため「あえて底地を購入するメリット」を訴求できないと売却はできません。また、借地人との交渉にはこれらのノウハウは底地売買を扱ったことがない不動産業者には乏しいのも実情です。
セゾンファンデックスは、底地売買の実績・ノウハウを豊富に有していますので、お悩みでしたらお気軽にご相談ください。
底地の整理方法は主に5つ
一般的に、底地の整理方法として考えられるものは以下の5つです。
- 専門の不動産業者に買取ってもらう
- 借地人に売却する
- 借地権を借地人から買取る
- 底地と借地権を両方とも売却する
- 底地と借地権を交換する
専門の不動産業者に買取ってもらう
底地整理の方法として、専門の不動産業者に底地を買い取ってもらうのは広く行われています。条件に同意さえできれば買取りをしてもらえるので、迅速に取引を進められるうえに、まとまった資金を確保できるのが大きなメリットです。特に、借地がたくさんあり、借地人も多い場合は地代収入が見込めることから、高く買ってもらえる可能性もあるでしょう。
ただし、売却価格が想像以上に安かったり、疑問点をはぐらかされたまま取引が進んでしまったりなどのトラブルも起こりえます。トラブルを回避するためにも、以下のポイントをチェックして不動産業者を選びましょう。
- 底地・借地権の取扱い実績が豊富か
- メリットだけでなくデメリットも教えてくれるか
- 質問や相談に対して担当者の返信は早いか
- 地主の要望を実現しようとしているか
借地人に売却する
借地人に底地(借地人にとっては借地)を売却するのも手段のひとつです。
借地人にとっても「住み慣れた場所から引越さなくて済む」という大きなメリットがあるため、資金面で折り合いがつけば交渉が早期にまとまる可能性があります。
ただし、地主との関係性が深い立場でもあるため、足元を見られて相場よりも安い値段を提示されるかもしれない点には注意しなくてはいけません。
提示された値段次第では、専門の不動産業者に買取ってもらったほうが高く売れることもあります。
借地権を借地人から買取る
逆に、地主が借地権を借地人から買取ることも可能です。借地権を借地人から買い取れば、借地権のない土地として利用できるため、活用の用途も広がります。ただし、借地権者との交渉が必要になるため、信頼関係が築けていないと難しい部分もあります。
また、借地人が建てた建物がある場合、解体費用は原則として借地人が負担しないといけません。
ただし、交渉次第では地主が負担しても構わないため、その点を含めお互いが納得できる着地点を見つけられるかが、この方法を使う際のポイントです。
底地と借地権を両方とも売却する
底地と借地権を両方とも売却する方法もあります。借地人に底地を買い取ってもらえそうになかったり、借地人から借地権を手放して引っ越すことに同意が得られたりしている場合につける方法です。
底地と借地権を同時に第三者に売却すれば、完全所有権の土地として利用することができるため、高く売れる可能性も出てきます。ただし、売却益の分配について借地人と地主との間で話し合いがまとまらないこともある点に注意しなくてはいけません。
底地と借地権を等価交換する
底地の一部と借地権の一部を交換することで、地主と借地人が互いに完全所有権の土地を取得する方法もあります。借地権の一部が借地人から地主に返還され、代わりに底地の一部を地主から借地人に譲渡する形となります。
これにより地主と借地人という関係が解消され、それぞれ完全所有権の土地を取得できるため、地主は売却も自由に市場価格で行うことができます。
ただし、交換した結果、互いに所有する土地の面積は縮小されることになります。また、そもそも建築物の接道条件を満たせず、等価交換ができない場合もあります。
等価交換を行う際には、諸条件について借地人とすり合わせなくてはいけません。のちのトラブルを防ぐためにも、底地と借地権の取り扱いに精通した経験豊富な不動産業者を間に挟むことをおすすめします。
底地の整理・売却ならセゾンファンデックス
底地はいわば「第三者に貸している土地」である以上、処分も相手=借地権者の同意のもとに進めなくてはいけません。借地権者に土地の買取りを提案したとしても「本当はそうしたいけど、お金がなくて」と難色を示されることもあるでしょう。協力を取り付けるためには「こうすれば良いのでは?」という提案とセットにすることが重要です。
セゾンファンデックスでは、借地権者の方に向けた底地買取用ローンのご提案も可能です。
さまざまな専門家とのネットワークも構築しておりますので、それぞれのご事情・ご希望に合わせた提案をいたします。「話し合いをしたいと思うけど、どうすればいいか分からなくて」など、お悩みがありましたらまずは一度お話をお聞かせください。