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空き家を相続したらどうする?放置するリスクや節税対策など対処法を解説
空き家を相続した方の中には、相続した空き家をどうすべきか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。空き家は適切に対応をしないとトラブルに発展する可能性があるので注意が必要です。 この記事では、空き家の相続に関する基礎知識、節税対策、活用方法、資産価値がない場合の対処法などについて解説します。空き家の相続について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
空き家の相続に関する基礎知識
相続が発生した際は、以下のような手順で相続手続きを進めます。
- 相続人の特定
- 相続財産の特定
- 遺産分割協議
- 相続財産の名義変更手続き
- 相続税の納付
空き家を相続する際は、相続を放棄するか、処分(売却)するか、処分資産として活用するか決める必要があります。相続人が複数人いる場合は遺産分割協議でどのように相続するか話し合わなくてはなりません。相続人全員の同意が必要で、遺産分割協議が難航するケースも多いので注意してください。
遺産分割協議で話し合いがまとまった場合、話し合った内容をまとめた遺産分割協議書を作成し、その内容に基づいて遺産を分割します。相続財産が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」という基礎控除額を超えている場合は相続税の課税対象となるため、相続税を算出して期日までに納付します。
空き家を相続すべきかどうかは一概に言い切れません。正しい選択をするためにも空き家を相続するメリット・デメリット、相続した空き家を放置するリスクについて詳しく見ていきましょう。
1-1.空き家を相続するメリット
空き家を相続するメリットとして、以下の2つが挙げられます。
【空き家を相続するメリット】
- 現金化できる
- 収益化できる
不動産は金融資産です。経年劣化が進行している空き家であっても、売却によって買い手が見つかった場合はまとまったお金を手に入れることが可能です。また、空き家を売却しない場合でも、賃貸物件として貸し出すことによって継続的に家賃収入を得られる可能性があります。
1-2.空き家を相続するデメリット
空き家を相続するデメリットとして、以下の3つが挙げられます。
【空き家を相続するデメリット】
- コストがかかる
- 税金がかかる
- 行政指導のリスクがある
相続した空き家を賃貸物件として貸し出す場合でも、そのままの状況で貸し出すことは基本的にできません。リフォームやリノベーションで利用できる状況にしてから貸し出す必要があるため、ある程度の費用がかかります。
また、売却する場合でも、需要を高めるためのリフォームやリノベーション、更地として売り出す際は解体費用がかかるので注意してください。
相続した空き家を処分せずに所有する場合、固定資産税や都市計画税などの税金が毎年かかります。また、空き家の管理を適正に行っていない場合、行政指導で税負担を引き上げられる可能性があるので注意しましょう。
1-3.相続した空き家を放置するリスク
相続した空き家を処分や活用をせずに放置した場合のリスクとして、以下の2つが挙げられます。
【相続した空き家を放置するリスク】
- 近隣トラブルに発展する
- 行政指導のリスクがある
適切な管理が実施されていない空き家は、経年劣化が進行して倒壊のリスクが高まります。外壁が剥がれ落ちた、瓦が強風で飛んだなどの理由で通行人がケガをする可能性があります。また、雑草が生い茂って害虫や害獣が住み着いた、不審者の拠点になったなどの理由で、近隣住民とのトラブルに発展する可能性があるので注意が必要です。
デメリットの項目でも触れた通り、空き家を相続した場合に行政指導の対象になるリスクがあります。自治体から勧告を受けたにもかかわらず、適切な是正措置を講じない場合、固定資産税と都市計画税の軽減措置の対象外となるので税負担が大きくなります。指導・助言・勧告・命令を経ても是正しない場合は、行政代執行によって空き家が強制的に取り壊されてしまい、自治体から解体費用を請求されることになるので注意してください。
上記のようなリスクを回避するには、空き家を相続する場合は適切な管理を行うことが欠かせません。
空き家を相続した際の節税対策
空き家を相続した際、相続税の負担を軽減できないか気になっている方も多いのではないでしょうか。空き家の相続では以下の節税対策を活用することで、相続税や譲渡所得税の負担を軽減することが可能です。
- 小規模宅地等の特例を活用する
- 居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例を活用する
それぞれの節税対策を詳しく解説していきます。
2-1.小規模宅地等の特例を活用する
小規模宅地等の特例とは、相続税を計算する場合に、空き家の宅地部分の相続税評価額を最大80%減額できる特例です。
ただし、この特例を活用するには、相続人が生前一緒に空き家に居住していた、賃貸物件として貸し出していたといった条件を満たしていなくてはなりません。
しかし、生前一緒に暮らしていない場合でも、相続人が賃貸物件に暮らしており、空き家を居住用住宅として使用するケースでは小規模宅地等の特例を活用できる可能性があります。他にも一定の条件を満たす必要があるため、活用の可否について詳しく知りたい方は、相続関係を得意とする税理士に相談することをおすすめします。
参考:国税庁|No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
2-2.居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例を活用する
居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例とは、空き家の売却で得た利益から最大3,000万円の控除を受けられる制度です。相続する空き家を売却する際に誰でも利用できるというわけではなく、以下のような条件を満たさなくてはなりません。
- 昭和56年5月31日より以前に建築された
- 区分所有建物登記がされている建物ではない
- 相続開始直前において被相続人以外の居住者がいない
- 相続開始日から3年経過した年の12月31日までに譲渡すること
一定の条件を満たした場合、空き家の売却によって得た利益から最大3,000万円の控除を受けられるので、空き家の相続によって発生する税金の負担を軽減できるでしょう。
参考:国税庁|No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
空き家の資産活用方法
相続した空き家をそのまま放置していても、コストがかかるだけでなく、行政指導のリスクを伴うため、何らかの形で資産を有効活用することをおすすめします。
空き家の資産活用方法として、以下の2つが挙げられます。
- 売却する
- 賃貸に出す
それぞれの資産活用方法について詳しく見ていきましょう。
3-1.売却する
空き家のまま放置していても、毎年固定資産税や都市計画税が発生します。しかし、売却することで買主に所有権が移るため、固定資産税や都市計画税がかかりません。
また、行政指導のリスクを回避するためには、空き家を適切に管理しなくてはならず、そのためには修繕費や管理費などの無駄な支出が生じます。しかし、売却することで買主に所有権が移るため、行政指導のリスクを回避できます。
空き家を売却することによって無駄な支出やリスクを回避できるだけでなく、まとまったお金を手に入れることが可能です。ただし、売却するということは手放すことになります。そのため、空き家を手放しても問題がない方に向いています。
3-2.賃貸に出す
空き家を賃貸に出して入居者を確保できれば、継続的に家賃収入を得ることが可能です。家賃収入を固定資産税や都市計画税の支払いに充てられるので税負担を補える、残った分は生活費の足しにできます。
しかし、基本的に空き家をそのまま賃貸に出すことはできません。賃貸に出すにはリフォームやリノベーションで経年劣化をカバーするだけでなく、設備や間取りなどを変更して機能性を高める必要があります。リフォームやリノベーションには多額の費用がかかります。
需要の低いエリアでは、費用をかけて賃貸に出しても借主が見つからないケースも少なくありません。そのため、ある程度の需要が期待できるエリアに向いています。
空き家に資産価値がない場合の対処法
空き家に資産価値がない場合は、売却や賃貸に出すという選択をしても需要がほとんど期待できないでしょう。そのため、資産価値がない場合は、別の対処法を検討する必要があります。
空き家の資産価値がない場合の対処法として、以下の3つが挙げられます。
- 解体する
- 寄付する
- 相続放棄する
それぞれの対処法について詳しく解説していきます。
4-1.解体する
空き家の経年劣化が著しい、築年数がかなり経過しているなどのように資産価値がない場合は、空き家を解体するのも選択肢の1つです。
購入を検討している方の中には、リフォームやリノベーションに費用がかかる、解体する場合にも解体費用がかかるという理由で購入に踏み切れないという方も少なくありません。
空き家を解体してから更地として売り出した場合は、買主の負担が軽減される、利用用途が増えることで売却を有利に進めやすくなるでしょう。しかし、解体費用が自己負担となる点に注意が必要です。
4-2.寄付する
解体費用を支払うことができない、更地にしても需要が期待できないようなケースでは、空き家を寄付するのも選択肢の1つです。
寄付とは、無償で第三者に空き家を譲ることです。例えば、隣地所有者や自治体に寄付するという選択肢があります。寄付が成立した場合は、空き家の所有権が移るため、固定資産税や都市計画税などの税負担、行政指導のリスクを回避できます。
しかし、自治体への寄付は特に問題ありませんが、隣地所有者に寄付する場合は贈与税が課される可能性があるので注意しましょう。
4-3.相続放棄する
相続が発生した直後の場合は、相続放棄するのも選択肢の1つです。相続が発生した場合、遺産を相続人同士で分け合う遺産分割を行います。相続放棄とは、遺産分割において遺産を相続しないという選択をすることです。
相続放棄を選択すれば遺産を相続しないため、空き家の所有権を取得しません。そのため、相続後の空き家にかかる固定資産税や都市計画税などの税負担、行政指導のリスクなどを気にせずに済むでしょう。
しかし、相続放棄を選択した場合は、空き家だけでなく全ての遺産の相続を放棄することになります。空き家だけを相続放棄できないという点に注意が必要です。
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おわりに
空き家を相続する際は、そのまま放置していると固定資産税や都市計画税などの税負担が生じる、行政指導のリスクが生じるので注意が必要です。
税負担を軽減する、行政指導のリスクを回避するには、適切な方法で空き家を有効活用することが大切です。例えば、賃貸に出せば継続的な賃料収入が期待できますが、貸し出すためにはリフォームやリノベーションなどの費用を負担する必要があります。また、解体して更地として売却する際は、需要が高まることで売却が有利に進む可能性がありますが、解体費用を負担しなくてはなりません。
最適な選択肢は状況によって異なるため、どのような選択肢があるのか、利用できる特例や控除などはないかを事前に確認してから行動に移しましょう。