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遺産相続の正しい分配方法!優先順位や分配基準、注意点をわかりやすく解説

初めての相続では、遺産の分配方法がわからない方も多いでしょう。遺言書がある場合、遺産は記載された内容に沿って相続するのが一般的です。一方で、遺言書がない場合は法定相続分をもとにするか、遺産分割協議を行って分配します。 本記事では、相続する基本的な割合や遺産分配の方法、注意点を解説します。最後までお読みいただければ、ご自身に合った遺産分配の方法がわかり、スムーズに相続手続きが進められるでしょう。

遺産相続の分配は遺言書の有無で大きく変わる!

遺産を分配するときは、まず遺言書の有無を確認しましょう。被相続人(亡くなった方)の意思が優先され、原則的に遺言書の内容どおり遺産を相続するためです。遺言書の内容が妥当か判断するためには、遺産相続の優先順位や分配の割合を押さえておきましょう。

本章では、基本的な考え方である被相続人との関係性別の優先順位と、遺産の分配割合を解説します。

1-1.遺産相続の優先順位

遺産を相続する順位は、被相続人との関係によって以下のように異なります。

遺産相続の分配基準

被相続人の配偶者は、常に法定相続人です。次に第1順位である子ども、第2順位である父母、第3順位である兄弟が相続します。また、養子や認知された子、前妻・前夫の子の相続する割合は、実子と同様です。

例えば、被相続人に配偶者と子ども3人がいる場合、法定相続人は配偶者と子どもの合計4人です。

法定相続人のうち、亡くなった方がいる場合に、その子どもに相続する権利が移ります。このような相続を代襲相続(だいしゅうそうぞく)といいます。被相続人に第1順位の孫と第2順位の兄がいる場合、法定相続人は孫です。

なお、孫が死亡した場合は、ひ孫まで再代襲相続が認められます。しかし、甥姪が亡くなった場合の再代襲相続は認められません。兄弟姉妹の親族は、直系の孫に比べると血縁関係が薄く、相続の偶然性が高いためです。

養子の子どもにも代襲相続する権利はありますが、生まれた時期によって遺産を受け取れるかどうかが異なります。養子縁組の後に生まれた養子の子どもは、実孫と同じように代襲相続人となります。一方で、養子縁組前に生まれた養子の子どもは、代襲相続人になりません。

養子縁組をした日から、養子は実子と同じ立場になります。養子縁組時の連れ子は、縁組する前に生まれているため、代襲相続させる必要がないという考え方に基づいているためです。

1-2.遺産相続の分配基準

法律で定められていた遺産を分配する割合である法定相続分は、相続順位や人数によって異なります。法定相続人ごとの法定相続分は、以下のとおりです。

スクロールできます
法定相続人法定相続分
配偶者のみ配偶者:全額
配偶者+子または孫配偶者:1/2子(または代襲相続人の孫):1/2
配偶者+父母配偶者:2/3父母:1/3
配偶者+兄弟姉妹または甥姪配偶者:3/4兄弟姉妹または甥姪:1/4
子どもまたは孫のみ子どもまたは孫:全額
父母のみ父母のみ:全額
兄弟姉妹は甥名のみ兄弟姉妹または甥姪:全額

法定相続人に子どもや兄弟姉妹が複数いる場合、上記の相続分を人数で割ります。

なお、代襲相続人である孫や甥姪が複数いる場合、引き継いだ相続分を均等に分けます。法定相続人が配偶者、亡くなった長男の孫3人、次男の合計5人の場合、法定相続分は以下のとおりです。

遺産相続の優先順位

孫3人合計の相続分は、亡くなった長男の1/4です。孫3人で均等に分けるため、法定相続分は1/12ずつになります。

参照元:法務局 | 法定相続人 (範囲・順位・法定相続分・遺留分)P.1

遺言書がない場合の遺産相続の分配方法

遺言書がない場合、遺産の分配方法は以下のとおりです。

  • 法定相続分をもとに分配する
  • 遺産分割協議をして分配する

それぞれの分配方法を解説します。

2-1.法定相続分をもとに分配する

法定相続分で相続する場合、遺産分割の割合を書類に残さずに預貯金の解約や不動産の名義変更ができます。

法定相続人を配偶者、亡くなった長男の孫3人、次男の合計5人と仮定します。実際に6,000万円の遺産を、法定相続分で相続する場合のひとり当たりの金額は、以下のとおりです。

【法定相続分】

  • 配偶者:1/2
  • 孫:1/12
  • 次男:1/4

【相続する金額】

  • 配偶者:6,000万円×1/2=3,000万円
  • 孫:6,000万円×1/12=500万円
  • 次男:6,000万円×1/4=1,500万円

上記のように、被相続人の関係性と法定相続人の人数によって、相続する金額は大きく異なります。なお、寄与分や特別受益が認められると法定相続分が修正される可能性があります。

寄与分とは、被相続の遺産の形成や維持に貢献した場合に割増される相続分です。例えば、被相続人の事業を手伝っていた場合や介護を行っていた場合に、認められることがあります。

特別受益は、大学の学費の支払いや起業のための資金提供など、亡くなる前に贈与された利益です。特別受益のある法定相続人が、法定相続分によって他の相続人と同様に受け取ることは不平等でしょう。平等に遺産を分配するため、生前に受けた贈与の金額を持ち戻して、法定相続分を再び計算します。

寄与分や特別受益で認められる金額は、ケースによって大きく異なります。寄与分や特別受益の金額は、通帳の出金履歴や贈与契約書などで確認しましょう。寄与分や特別受益による法定相続分の修正された場合、遺産分割協議書を作成する必要があります。不動産を名義変更する場合や預貯金を解約する際、公的な書類がなければ寄与分や特別受益がわからないためです。

2-2.遺産分割協議をして分配する

法定相続分以外の割合で相続したい場合、遺産分割協議をしましょう。また、遺言書に記載されていない遺産がみつかった場合や、遺言が無効になった場合も、遺産分割協議を進めます。なお、遺産分割協議をするには、法定相続人全員の同意が必要です。

遺産分割協議の内容に法定相続人全員が同意したのち、遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書の書き方に決まりはありません。

パソコンで作成しても問題ありませんが、日付と署名は手書きで行いましょう。署名を代筆した場合、遺産分割協議書が無効とみなされる可能性があります。また、役所に印鑑登録した実印で押印しましょう。

実際に預貯金の解約や不動産の名義変更をする際は、遺産分割協議の提出が必要になります。書類を提出しなければ、金融機関や法務局の担当者が遺産を相続する割合を正確に判断できないためです。

万が一、遺産分割協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に調停を申し込みます。その際、以下の書類が必要です。

  • 申立書
  • 被相続人の出生~死亡まで連続した戸籍謄本
  • 法定相続人全員の住民票または戸籍附票
  • 遺産に関する証明書

遺産に関する証明書とは、預金通帳のコピーや証券会社の書類、不動産の登記事項証明書などです。

調停では調停委員の仲介を受けながら、遺産分割協議を進めます。裁判官が提示した調停案に相続人全員が同意すれば、遺産分割協議が完了します。

遺言書がある場合の遺産相続の分配方法

遺言書がある場合、原則として記載されている内容どおりに相続します。手書きの自筆証書遺言の場合は、開封する前に家庭裁判所での検認の手続きが必要です。検認とは、家庭裁判所が法定相続人全員に遺言書の存在を知らせ、遺言書の偽装を防ぐために検認日現在の内容を確認する手続きです。

もし自宅に遺言書がなかった場合、法務局や公証役場の保管サービスを利用していないか確認しましょう。自宅近くの法務局や公証役場で、保管サービスを利用しているか確認できます。

なお、遺言書では遺留分(いりゅうぶん)に注意しなければなりません。遺留分とは、法定相続人が相続できる最低限の取り分です。法定相続人ごとの遺留分は、以下のとおりです。

スクロールできます
法定相続人遺留分
配偶者のみ1/2
配偶者+子または孫配偶者:1/4子(または代襲相続人の孫):1/4
配偶者+父母配偶者:1/3父母:1/6
配偶者+兄弟姉妹または甥姪配偶者:3/4兄弟姉妹または甥姪:1/4
子どもまたは孫のみ子どもまたは孫:1/2
父母のみ父母:1/3

遺留分が認められる法定相続人は、兄弟姉妹以外です。兄弟姉妹は、被相続人との関係が他の相続人に比べると薄いとされているためです。

遺留分を侵害された場合、多く受け取っている相続人に対して遺留分請求ができます。遺留分請求は、以下のどちらかの期限を過ぎると時効によって消滅する点に注意しましょう。

  • 相続を開始してから10年
  • 遺留分を侵害する遺贈や贈与を知ってから1年

なお、遺言書があっても、法定相続人全員の同意があれば、遺産分割協議もできます。

参照元:
法務局 | 法定相続人 (範囲・順位・法定相続分・遺留分)P.1
裁判所 | 遺留分侵害額の請求調停

遺産相続の分配を行う際の注意点

遺産相続の分配を行う際の注意点は、以下のとおりです。

  • 借金も相続の対象になる
  • 法定相続人が未成年の場合は代理人が必要になる
  • 相続放棄をする方がいる場合、遺産分割の割合が異なる

それぞれの注意点を解説します。

4-1.借金も相続の対象になる

遺産はプラスの財産だけでなく、マイナスの財産も含まれます。マイナスの財産とは、家賃や税金の未払いや、消費者金融のローンなどです。

何も手続きしなければ、法定相続人は借金返済の義務を相続します。法定相続人が借金を含めて相続した場合、返済する割合は法定相続分と同様です。

プラスの財産よりマイナスの財産が多い場合、相続放棄をしましょう。相続放棄とは、被相続人の財産を受け取る権利をすべて放棄することです。

相続放棄は、被相続人が亡くなったことを知った日から3ヵ月以内に手続きをしなければなりません。3ヵ月を過ぎてしまうと、プラスとマイナスの財産をすべて相続する「単純承認」とみなされます。

相続放棄の手続きは、被相続人が亡くなった住所を管轄する家庭裁判所に申し立てします。被相続人の財産額を確認し、判断する必要があるため、早めに動き出しましょう。

車や貴金属などの遺産を処分すると、単純承認したとみなされ、相続放棄できません。なお、洋服や書籍などの資産価値が高くないものを分ける「形見分け」は財産処分にみなされないため、相続放棄できます。

マイナスの借金があっても実家といった遺産を相続したい場合は、限定承認をしましょう。限定承認とは、プラスの範囲内でマイナスの財産を受け継ぐことです。

なお、限定承認の手続きは相続放棄と同様に3ヵ月以内に進めなければなりません。非常に複雑な手続きのため、利用したい場合は相続のプロに相談しましょう。

参照元:
裁判所 | 相続の放棄の申述
裁判所 | 相続の限定承認の申述

4-2.法定相続人が未成年の場合は代理人が必要になる

法定相続人のうちに18歳未満の未成年者がいる場合は、代理人が必要となります。未成年者は、遺産相続の判断能力がないとみなされるためです。

契約といった法律行為をする場合、基本的に親が法定代理人として手続きできます。しかし、親が相続人の場合、代理人にはなりません。親が代理人となると、子どもの分を減らし、ご自身の分を増やす不正ができるためです。

親が代理人となれない場合、親以外の特別代理人を立てなければなりません。特別代理人は、弁護士や司法書士などの資格者だけでなく、未成年者の祖父母や叔父叔母といった親族を立てられます。

特別代理人を立てるには、遺産分割協議書の作成後、家庭裁判所に申請する必要があります。家庭裁判所は、遺産分割協議書の内容から未成年者の不利な相続にならないか確認し、申請を受理するか判断するためです。

4-3.相続放棄をする方がいる場合、遺産分割の割合が異なる

相続放棄をする法定相続人がいる場合は法定相続分が変わるため、注意しましょう。相続放棄は最初から法定相続人ではないとみなすためです。

法定相続人が配偶者と子ども4人と仮定した場合、相続放棄をした子どもがひとりいる場合の法定相続分は以下のとおりです。

  • 子ども4人合計の法定相続分:1/2
  • 子どもひとり当たりの法定相続分:1/2÷4=1/8
  • 子どもひとり相続放棄した場合の子どもの法定相続分:1/2÷3=1/6

相続放棄しても、法定相続分に影響がある相続人に自動的に連絡されません。相続放棄をする場合、他の相続人に伝えておくと、トラブルを防げるでしょう。

遺産相続の分配に関するご相談はセゾンファンデックスへ

遺産の分配方法を間違えると、相続人同士でトラブルになりかねません。遺産分配で不安がある場合は、相続のプロに相談しましょう。セゾンファンデックスでは、相続不動産の売却をサポートしています。

不動産は現金のように正確に分割できないため、分配でトラブルになりやすい遺産です。住み続けたい相続人がいる一方で、売却したい相続人との意見がまとまらないケースが考えられます。そのような際でも、セゾンファンデックスでは、一人ひとりのご状況に合わせて提案します。

例えば、相続した実家に住む予定がない場合、売却の相談や土地活用だけでなく、残留物の処分方法までトータルで提案可能です。

手続きによっても異なりますが、不動産売却や各種ローンを利用する場合、最短即日で見積もりできます。遺産の分配方法にお悩みの方は、ぜひセゾンファンデックスへご相談ください。

おわりに

遺言書の有無によって遺産の分配方法や相続する割合が異なります。まず、遺言書があるか、自宅や法務局、公証役場で探しましょう。

遺言書がある場合は、原則的に記載されている内容に従って分配します。ただし、遺言書の内容が遺留分を侵害していないか確認しましょう。

一方、遺言書がない場合は、法定相続分をもとにするか、遺産分割協議をして分割割合を決定します。法定相続分は、寄与分や特別受益がないか確認してから、預貯金の解約や不動産の登記の手続きを進めましょう。

遺産にはマイナスの財産も含まれるため、遺産分割前に金融機関の書類で借金がないか確認する必要があります。また、法定相続人に未成年がいた場合、代理人を立てなければ遺産分割協議を進められません。相続放棄をした相続人がいる場合、遺産分割の割合が変わるため注意が必要です。

このように遺産相続は複雑になるケースが多いため、スムーズに進めるためにも、専門家への相談をおすすめします。

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