「老人ホーム」と総称される高齢者の方向け施設ですが、公的介護施設と民間介護施設に分かれます。
〇公的介護施設
自治体や社会福祉法人によって運営されています。
月額利用料はあくまで目安ですが、7万円〜15万円程度でおさまり、入居一時金を必要としない施設がほとんどです。
介護や医療が付いた施設はどれも要介護の方が対象という条件があり、誰でも入居できるわけではありません。
したがって公的介護施設では入居待ちの施設が多く、特に特別養護老人ホームが最たるものです。
特別養護老人ホームは原則として要介護3以上の方が対象です。
認知症で日常生活を送るのに支障が度々発生するなどの特別な事情がある場合に限り、要介護1,2の方も入居することができ、原則として終身に渡って介護が受けられる施設です。
民間介護施設よりも費用が安いこともあり、入居希望者が後を絶ちません。
また、入居の優先度は、申込み順ではなく介護度合いや介護者の有無などを点数化して決定されるため、いつ入居できるか見通しが立ちません。場合によっては入居まで数年かかることもあります。
公的介護施設は費用が安い反面、人気が高いうえ入居条件が厳しいことから、自分の希望するタイミングで入居できないというデメリットがあります。
〇民間介護施設
民間の会社が運営する有料の施設で、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、グループホームなど種類が多く、受けられるサービスも豊富です。
民間介護施設のなかには、要介護の方でなくとも利用可能な介護や医療サービスがついている施設もあります。
PwC コンサルティング合同会社の「高齢者向け住まいにおける運営実態の多様化に関する実態調査研究(令和2年3月)」によると、家賃に相当する「居住費用」と月々の管理費・サービス費に相当する「月額利用料金」で構成された利用料金(総額費用)を月額換算した、各施設の平均額は以下の通りになります。
・介護付き有料老人ホーム:277,039円
24時間介護スタッフが常駐し、身の回りの世話や介護サービスが受けられます。
・住居型有料老人ホーム:123,327円
自立の方や要介護度が軽度の方が多く入居し、生活援助や緊急時の対応、レクリエーションが受けられ、介護サービスは受けた分だけ支払います。そのため介護の必要性が高いほど費用がかかることになります。
・サービス付き高齢者向け住宅:137,585円
バリアフリー構造に整備された高齢者向け住宅で、提供サービスの中心は安否確認と生活相談です。
厳密には老人ホームではありません。
この数字は、民間介護施設で入居時に払うことのある入居一時金(前払い金)を考慮し計算しているため、純粋な月額利用料金よりも金額が大きいことに注意が必要です。
入居一時金はかからない施設もあれば、数百万円にもなる施設もあります。
入居一時金が必要な施設では、年金以外に預貯金がなければ入れないということになります。
逆に入居時に費用がかからない施設では、月額利用料がその分上乗せされます。
参考:
「高齢者向け住まいにおける運営実態の多様化に関する実態調査研究(令和2年3月)」