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【記入例つき】民泊の事業計画書の書き方|11項目のテンプレートを埋めて骨子をまとめ
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| 執筆者氏名 | 「お金のトリセツ」編集部 |
|---|---|
| 所属 | セゾンファンデックス |
| 執筆日 | 2026年02月06日 |
目次
民泊を始める際、「事業計画書は必要なのか?」「どう書けばいいのか?」と疑問に感じる方もいるでしょう。
事業計画書に決まった様式はありませんが、民泊では次のような場面で提出を求められます。
- 金融機関や日本政策金融公庫への融資申請
- 補助金・助成金の申請
- 賃貸物件を民泊用途で借りる際の交渉
- 観光協会や事業パートナーとの提携
つまり、事業計画書は開業準備から運営・拡大まで活用できる資料です。
本記事では「この11項目を順番に整理することで、民泊の事業計画書を作成する際の整理が可能になる」形で、具体的な書き方と記入例を解説します。
民泊に事業計画書が必要な理由(融資・許可・収益性の3つの観点)
民泊の事業計画書は、法令上「必ず提出しなければならない」わけではありません。しかし実務上は、重要な資料として扱われるケースが多いのが実情です。
1. 融資・補助金の審査に必要
民泊を物件購入や改装から始める場合、多くは金融機関や日本政策金融公庫からの融資、または補助金の活用を検討します。
審査担当者が主に確認するのは次のポイントです。
- どのようなコンセプトの民泊か
- 初期費用と運転資金はいくら必要か
- 稼働率や客単価の想定に妥当性があるか
- 返済原資となるキャッシュフローは十分か
これらを口頭だけで説明するのは難しく、事業計画書という形で整理することで、融資担当者に内容が伝わりやすくなります。民泊は景気や観光需要の影響を受けやすいため、「数字の根拠」を示した計画書は評価につながりやすくなります。
2. 自治体・物件オーナーとの調整に役立つ
民泊は、住宅宿泊事業法や旅館業法、各自治体の条例など、さまざまなルールのもとで運営されています。賃貸物件を活用する場合は、オーナーや管理会社の理解も欠かせません。
事業計画書があれば、次の点を具体的に示せます。
- 騒音・ゴミ出し・近隣トラブルへの対応方針
- チェックイン方法(スマートロック等)
- 清掃体制や緊急連絡先
- 宿泊者数や利用想定
「きちんとルールを守って運営する計画がある」ことを示すことで、自治体との協議やオーナーとの交渉を進めやすくなります。
3. 自分自身の収益シミュレーションとリスク管理の土台になる
民泊は「空き家・空き部屋を貸すだけ」のシンプルなビジネスに見えますが、実際には次のようなコストが発生します。
- OTA(Airbnbなどの宿泊予約サイト)の手数料
- 清掃費・リネン費用
- 光熱費・消耗品費
- 初期の改装費・家具家電費
- 税金や保険料
これらを考慮せずに始めると、「売上はあるものの、手元資金が想定より残らない」状態になる可能性があります。
事業計画書の作成プロセスで、稼働率や客単価をどう見込むのか、閑散期やトラブル時の損失をどうカバーするのか、ローン返済が続けられる範囲はどこかといった点を具体的な数字で検証しておけば、開業前に収益性を高めやすい条件や、慎重に判断すべき水準を整理できます。
民泊の事業計画書はこの11項目で整理できる
事業計画書に決まった様式はありませんが、民泊運営に必要な要素は大きく11項目に整理できます。この11項目を順番に整理していくことで、金融機関・自治体・物件オーナーに提出する際の基本的な整理が可能になります。
1. 事業コンセプト(民泊の特徴と価値を一言で示す)
あなたの民泊がどんな特徴を持ち、誰にどんな価値を提供するのかを明確にします。
例:
- 駅徒歩3分の立地を生かした短期滞在型の宿
- 古民家を活用し、地域体験を楽しめる滞在空間
- 長期滞在・ワーケーション向けの設備重視型
一言で説明できるコンセプトほど、融資担当者にも内容が伝わりやすくなります。
2. 物件・立地情報(収益性と安全性を確認する重要な項目)
民泊の収益は「立地 × 物件仕様」で大きく変わります。以下を記載すると、計画の妥当性が伝わりやすくなります。
- 物件の所在地
- 最寄駅からの距離
- 観光地や商業地までのアクセス
- 建物の構造(木造・鉄骨・RC)
- 間取り・広さ
- 消防設備・改装予定
- 住宅宿泊事業/旅館業の許可可否
物件は収益モデルの中心となる要素のため、詳細に記載しておくことが有用です。
3. 市場分析(需要・訪日客・競合状況)
市場分析は「その立地で収益が想定できるか」を示す重要な材料です。
- 訪日観光客の動向
- 国内旅行需要
- 周辺の民泊・ホテルの客単価
- 稼働率の相場
- イベント・季節要因による繁忙期
客観的な根拠をもとに収益予測を立てている点をアピールできます。
4. ターゲット設定(誰に選ばれる民泊か)
ターゲットは、収益モデルと価格戦略に直結します。
例:
- 訪日観光客(短期滞在で単価は高め)
- 長期滞在者/ワーケーション(稼働率が安定しやすい)
- ファミリー層(広めの部屋を必要とする)
ターゲットが明確であるほど、サービス内容・価格設定・内装方針を整理しやすくなります。
5. 提供サービス(宿泊プラン・設備・体験)
提供サービスは、競合との差別化ポイントです。
例:
- 宿泊プラン(素泊まり/朝食付き/長期滞在)
- 設備(Wi-Fi、高速ネット、家電、乾燥機など)
- 体験メニュー(観光ガイド、地域体験)
- 利用ルール(ハウスルール、多言語対応)
民泊はレビューが集客に影響する要素の一つとなるため、サービス内容を事業計画の段階から整理しておくことが重要です。
6. 価格設定とその根拠(融資で最も見られるポイント)
価格設定は、稼働率とともに審査担当者が確認することの多い要素です。
例:
- 周辺の民泊・ホテルの客単価
- 繁忙期・閑散期の価格帯
- 部屋タイプ別の料金差
- 清掃費の設定
単価に根拠があるかが、収益の信頼性を左右します。
7. 運営オペレーション(鍵管理・清掃・レビュー対応)
民泊事業では、運営体制の明確さが安全性とクオリティに直結します。
例:
- チェックイン方法(スマートロック・対面・キーボックス)
- 清掃フロー(外注/内製、作業時間、品質管理方法)
- 緊急連絡体制(騒音トラブル、設備故障時)
- レビュー管理(改善サイクルの仕組み)
事前に整理しておくことで、金融機関・自治体に運営体制を説明しやすくなります。
8. 初期費用(開業までに必要な投資額)
民泊を開業するまでに発生する主な初期費用の内訳を確認します。
例:
- 改装費
- 家具・家電
- リネン・消耗品
- 消防設備の追加費用
- 許可取得費用
項目を分けて記載することで、資金計画の透明性が高まります。
9. ランニングコスト(運営開始後の固定費・変動費)
民泊運営では、ランニングコストの管理は、利益に影響を与える要素となります。
例:
- 清掃費
- リネン費
- 光熱費
- OTA手数料(Airbnb等)
- 通信費
- 税金
- 保険料
"固定費と変動費"を分けると、収益の安定性が説明しやすくなります。
10. 売上・収支計画(稼働率 × 客単価 × 戸数)
売上計画を示す際は、以下の根拠を提示することが重要です。
- 稼働率
- 客単価(ADR)
- 季節要因
- OTA手数料控除後の実収入
金融機関が最も重視するのは「返済原資が確保できるか」であり、収支表の作り込みは審査の核心部分になります。
11. リスクと対策(民泊ならではの不確実性に備える)
民泊運営において想定される主なリスクと、あらかじめ検討しておくべき対応策を扱います。
例:
- 閑散期の稼働率低下 → 長期滞在割引で補完
- レビュー低下 → 清掃品質の改善、トラブル対応フロー整備
- 観光需要の変動 → 多言語対応や複数チャネル販売
- 法改正リスク → 行政との連携や許可更新の管理
リスクに触れることで、計画の検討状況を伝えやすくなります。
民泊事業計画書の書き方と記入例
ここからは、前章の11項目について、「どのように書くか」を記入例とあわせて示します。この書き方を参考にすることで、自身の事業に応じた事業計画書を整理しやすくなります。
事業コンセプトの書き方と記入例
書き方のポイント
- 立地・物件の特徴
- 提供価値(静かな滞在・観光の利便性・地域体験など)
- ターゲット層との結びつき
記入例:「当物件は駅徒歩4分の立地を活かし、訪日観光客向けの"アクセス良好・多言語対応"を特徴とした短期滞在型の民泊として運営します。周辺観光地との相性が良く、1〜4名のグループ利用を想定しています。」
物件・立地情報の書き方と記入例
書き方のポイント
- 最寄駅からの距離
- 観光地・商業施設までのアクセス
- 建物の構造、築年数
- 許可取得に必要な改装の概要
記入例 :「JR〇〇駅から徒歩4分、都市圏の観光地〇〇へ電車で10分の位置にある木造2階建てアパートの一室(35㎡)を活用します。自動火災報知設備と誘導灯の設置を行い、住宅宿泊事業の届け出要件を満たします。」
市場分析の書き方と記入例
書き方のポイント
- 訪日客数や国内旅行者の増減
- 周辺民泊の客単価・稼働率
- イベント・季節要因
- ターゲット層のニーズ
記入例 :「観光庁データによると、当エリアの訪日観光客数は前年比+22%と増加傾向にあります。また、Airbnb掲載物件の平均稼働率は70〜80%で、1泊あたりの平均客単価は9,000〜12,000円です。駅近物件のため短期滞在の需要が想定されます。」
ターゲット設定の書き方と記入例
書き方のポイント
- 年齢・国籍・利用目的
- 滞在日数の傾向
- 価格感帯
- 部屋の設備・広さとの相性
記入例 :「主要ターゲットは20〜40代の訪日観光客で、2〜3泊の短期滞在が中心です。4名まで宿泊可能なため、グループ旅行・カップル・ファミリーの利用も想定しています。」
提供サービスの書き方と記入例
書き方のポイント
- 宿泊プラン
- 設備(Wi-Fi・家電・アメニティ)
- セルフチェックイン方法
- ハウスルールの要点
記入例 :「高速Wi-Fi、乾燥機付き洗濯機、キッチン設備を整備し、短期・長期どちらにも対応できる環境を用意します。非対面チェックインを導入し、スマートロックを導入し、宿泊者の利便性に配慮します。」
価格設定の書き方と記入例
書き方のポイント
- 周辺相場を必ず引用する
- 繁忙期・閑散期で料金を変動させる
- 清掃費を別途設定するかどうか
記入例 :「1泊の基本料金は9,000〜11,000円とし、周辺民泊の価格帯(8,500〜12,000円)を参考に設定します。繁忙期は12,000〜14,000円、閑散期は8,000円前後を想定し、清掃費は一律5,000円とします。」
運営オペレーションの書き方と記入例
書き方のポイント
- チェックイン方法
- 清掃の外注/内製
- トラブル対応方法
- レビュー改善の仕組み
記入例 :「チェックインはスマートロックによる非対面方式。清掃は外部業者へ委託し、標準化されたチェックリストに基づき、品質管理を行います。騒音・設備トラブル等は24時間対応のサポート窓口を設置し、レビュー低下の防止に努めます。」
初期費用の書き方と記入例
書き方のポイント
- 改装費
- 家具・家電
- 消防設備
- 許可申請費用
- 開業に必要な備品一式
記入例 :「初期費用は合計78万円を見込みます。内訳は、家具家電一式40万円、消防設備15万円、内装調整10万円、清掃備品等13万円です。」
ランニングコストの書き方と記入例
書き方のポイント
- 変動費(清掃・リネン・消耗品)
- 固定費(光熱費・通信費・保険・税金)
- OTA手数料
記入例 :「月間のランニングコストは約11万円。内訳は清掃費5万円、光熱費2万円、消耗品1万円、通信費1万円、OTA手数料は売上の12〜15%を想定します。」
売上・収支計画の書き方と記入例
書き方のポイント
- 稼働率の根拠(市場分析と整合)
- 客単価(ADR)
- 手数料・コスト控除後の実収益
- 返済原資の確保が重要
記入例: 「稼働率70%、平均客単価10,000円とした場合、月の売上は約21万円。手数料・コスト控除後の営業利益は約8〜10万円となり、ローン返済額(月6万円)を想定した収支構造です。」
リスクと対策の書き方と記入例
書き方のポイント
- 需要変動
- レビュー低下
- 法改正
- 近隣トラブル
記入例: 「閑散期の稼働率低下に備え、月単位の長期割引プランを提供します。レビュー低下時は清掃業者の変更や設備更新を行い、総合評価の維持・改善を目的として対応します。法令改正については行政の更新情報を定期的に確認します。」
【融資を通すために必要な3つの数字】民泊の収支計画の作り方
民泊の事業計画書で、金融機関が重視する要素の一つが「収支計画の妥当性」です。民泊は観光需要や季節要因によって売上が変動するため、数字の根拠が曖昧な計画書は、審査上の説明が難しくなる傾向があります。
融資審査で必ずチェックされる3つの数字について、実務に基づいて解説します。
1. ADR(平均客室単価)
ADR(Average Daily Rate)は、宿泊1件あたりの平均売上を示す指標で、収益性を把握する際に用いられる指標です。
ADRを決めるときのポイント
- Airbnb・Booking.comなどの周辺相場を必ず確認する
- 繁忙期と閑散期で価格差をつける
- 逆算で高すぎる設定にしない(融資審査上、慎重に見られる)
ADRが市場から乖離していると、「売上の根拠について説明が求められる」場合があります。
記入例: 「周辺物件の相場から、平日9,000円、休日11,000円、繁忙期13,000円とし、通年の平均客単価(ADR)は10,000円と設定します。」
2. 稼働率(民泊ビジネスにおける重要指標)
稼働率は売上を大きく左右する最重要指標です。
融資担当者は、稼働率の"根拠"、市場分析との整合性、過度に楽観的でないかといった点を確認することが多いです。
稼働率を設定するポイント
- 観光庁統計を参考に、周辺エリアの稼働率や宿泊単価、旅行需要の水準を確認する
- 周辺の民泊やホテルの相場を比較する
- 開業初期は控えめに見積もる
一般的に、都市部では60〜80%前後が目安となりますが、地域差が大きいため、必ず市場分析と合わせて説明する必要があります。
記入例 :「稼働率は70%を想定。周辺民泊の平均稼働率(68〜75%)と同水準で、訪日客の増加傾向も追い風となるため妥当性があると判断します。」
3. DSCR(返済能力の指標)
DSCR(Debt Service Coverage Ratio)は、「事業がどれだけ余裕を持って借入返済をまかなえるか」を示す金融機関が重視することの多い指標です。
DSCRの計算式
DSCR = 営業利益(キャッシュフロー) ÷ 年間返済額
判断基準
- 1.0未満 … 返済をカバーできない(融資判断が慎重になる)
- 1.2〜1.5 … 安全ライン
- 1.5以上 … 余裕があり高評価
DSCRを意識した収支計画は、審査時の説明材料として有用です。
記入例 :「年間営業利益120万円に対し、年間返済額72万円のため、DSCRは1.67。返済余力が十分にあり、資金繰りに無理のない計画と判断できます。」
3つの指標を組み込んだ収支計画の書き方例
事業計画書には、次のようにまとめると審査担当者に伝わりやすくなります。
- 平均客単価(ADR):10,000円
- 稼働率:70%(市場相場と整合)
- 月間売上:21万円(10,000円 × 30日 × 0.7)
- ランニングコスト:11万円
- 営業利益:10万円
- 年間返済額:72万円(月6万円)
- DSCR:1.67 → 返済余力あり
数字と根拠を揃えて提示することで、収支計画の妥当性を説明しやすくなります。
民泊運営の実務(鍵管理・清掃・規制対応)を計画書にどう書くか
民泊の事業計画書では、「どのように日々の運営を行うのか」は、評価時に確認される要素の一つになります。宿泊者とのトラブル、清掃品質の低下、近隣住民との摩擦など、民泊運営はさまざまなリスクがあるため、金融機関も自治体では、運営体制について確認されることが多いためです。
計画書に必ず盛り込んでおきたい実務面の3つの要素について、具体的な書き方と記入例を示します。
1. 鍵管理(チェックイン方法)の書き方
民泊では「宿泊者が自分で入室できるかどうか」は、満足度に影響する要素の一つです。同時に、近隣トラブルやセキュリティ面でも、どの方式を採用するかは重要です。
書き方のポイント
- チェックイン方式(スマートロック/キーボックス/対面)
- 本人確認の方法
- トラブル時のサポート体制
- 多言語対応の有無
記入例 :「チェックインはスマートロックを利用した非対面方式とし、事前に本人確認書類の提出を受け付けます。暗証番号は予約ごとに自動生成し、セキュリティ面に配慮します。鍵の不具合が発生した場合は、外部の24時間対応サポート窓口へ連絡できる体制を整えています。」
2. 清掃・リネン管理の書き方
清掃品質はレビュー評価に影響する要素の一つです。レビューは売上にも影響するため、清掃体制を計画段階から詳細に書いておくことが重要です。
書き方のポイント
- 清掃作業の外注/内製
- チェックリストによる品質管理
- リネンの交換頻度と業者連携
- 清掃タイムスケジュール(回転率に関係)
記入例 :「清掃は専用の清掃業者に委託し、標準化された作業チェックリストに基づいて実施します。リネンは外部業者と週3回の定期回収契約を締結し、衛生面について、一定の品質水準を維持する体制とします。清掃完了後は写真報告を受け、管理者が遠隔で確認します。」
3. 規制対応(法令・近隣対策)の書き方
民泊運営では、住宅宿泊事業法(民泊新法)、旅館業法、各自治体条例など、多くのルールが存在します。計画書では、次の点を明確にしておくことで、説明がしやすくなります。
書き方のポイント
- 消防設備の整備状況
- 届け出・許可の取得予定
- ゴミ出しルール・騒音対策
- 近隣へのトラブル予防措置
記入例 :「住宅宿泊事業法に基づく届出を行い、自動火災報知設備と誘導灯を設置します。ゴミ出しは地域ルールに従い、宿泊者にはハウスルールとして多言語で周知します。夜間騒音トラブルを防ぐため、時間帯ごとの音量注意事項を宿内掲示し、クレーム発生時には管理者が対応できる体制とします。」
実務を書き込むと計画書の評価が上がる理由
民泊の事業計画書では、運営実務が具体的に書かれていると次のメリットがあります。
- 金融機関に対して、運営体制について説明しやすくなる
- 自治体との協議を進めやすくなる
- オーナー・管理会社に対して、運営方針を共有やすい
- 開業後の運営方針を整理しやすくなる(事業の再現性が高まる)
実務面の記述は、収支計画のような「数字」だけでは伝わらない計画内容を具体的に伝えるための要素です。
民泊運営に使える資金調達方法
民泊は小規模に始められる一方、物件取得費・改装費・家具家電・清掃備品など、初期費用が発生しやすいビジネスです。また、予約が安定するまでの運転資金も必要になるため、資金調達の選択肢を広く理解し、計画書に適切に反映することが重要です。
民泊事業で利用しやすい4つの代表的な資金調達方法を整理し、事業計画書に書く際のポイントもあわせて解説します。
1. 日本政策金融公庫(創業融資)
日本政策金融公庫は、創業時の調達先として利用されることの多い金融機関です。
メリット
- 低金利で借りやすい
- 無担保・無保証の制度融資がある
- 創業期でも申請しやすい
- 長期返済で月々の負担を抑えられる
デメリット
- 審査に時間がかかる
- 事業計画書の内容が不十分だと通りにくい
記載ポイント(事業計画書向け)
- 「初期費用の内訳」を具体的に書く
- 「稼働率」「単価」の根拠をデータで示す
- 「返済原資」を明確にし、無理のない試算にする
日本政策金融公庫は、「根拠ある事業計画」を特に重視するため、数字とロジックが整理されているほど、説明がしやすくなります。
2. 補助金・助成金
返済不要のため、民泊の初期投資においては選択肢の一つとして検討される制度です。
メリット
- 返済不要
- 改装費・設備費など高額の費用に活用できる制度もある
- 事業の信用力を高める効果もある
デメリット
- 先払い(後払い方式)が多い → 一時的に資金に余裕が必要
- 申請書類や実績報告が煩雑
- 使える経費が限定されている
記載ポイント(事業計画書向け)
- 「採択された場合、初期費用の一部を補填できる」ことを明記
- ただし「補助金が採択されなくても事業継続可能」とするバランスが重要
補助金は事業計画の裏付けとしても評価されやすいため、利用検討は必ず盛り込みましょう。
3. 家族・知人からの借入
メリット
- 審査なしで、比較的柔軟に資金を確保できる
- 条件の柔軟性が高い
デメリット
- 返済トラブルが発生した場合、関係性への影響
- 事業が失敗した場合の精神的負担が大きい
記載ポイント(事業計画書向け)
- 借用書を作成し、返済ルールを明確にすることを書く
- 「関係性に依存しない運営」を意識した記述にする
4. 不動産投資ローン(銀行融資・ノンバンク融資)
民泊用物件を購入する場合、多くの人が検討するのが不動産投資ローンです。
銀行融資
- メリット:金利が低い、大口融資が可能
- デメリット:審査が厳しい、融資実行まで時間がかかる
ノンバンク融資
- メリット:比較的迅速な対応、柔軟な審査
- デメリット:金利が高め、返済期間が短い傾向
記載ポイント
- 銀行とノンバンクの役割を理解して選択していること
- 月々の返済額が事業収益の範囲内に収まる想定であること
- 設備資金と運転資金の区分を明確にすること
記入例 :「金融機関の融資条件を比較したうえで、返済負担が適正に収まるノンバンク融資を選択する予定。初期費用は700万円で、そのうち500万円を融資、200万円を自己資金で賄う。返済額は月6万円を想定し、稼働率50%の場合の収支シミュレーションを行う。」
たとえば、セゾンファンデックスの不動産投資ローンは、融資金額最大5億円、フルローンも可能なため、民泊事業を始めようと考えているものの資金面に不安がある方にとって、現実的な選択肢となり得ます。
資金調達戦略を計画書に盛り込むメリット
資金戦略を明確にしておくと、次の効果があります。
- 金融機関に対して、資金管理の考え方を説明しやすくなる
- 補助金申請において、計画内容を説明しやすくなる
- 自己資金の割合と返済計画の妥当性が伝わりやすい
- 投資家との交渉を進めやすくなる
民泊事業はキャッシュフローが安定するまでに時間がかかるため、計画書段階から資金繰りのシナリオを複数用意しておくことが重要です。
民泊開業の事業計画書作成のポイント
民泊事業の計画書は、「提出するための書類」ではなく、事業の成功確率を高めるための設計図です。しかし、実際には多くの人が次のような点で、融資・補助金・事業運営において課題に直面します。
初心者が特につまずきやすいポイントを中心に、計画書の質を大幅に引き上げる書き方のコツを整理します。
見やすく、論理的な計画書にする
事業計画書は「読む人に理解してもらうこと」が目的です。文章量だけ増やすと、要点が伝わりにくくなる場合があります。
良い計画書の共通点
- 簡潔にまとめられている
- 図表を適度に活用している
- 数値が整理され、視覚的に理解しやすい
- 見出しや強調が適切に使われている
読みやすい構成のコツ
- 1項目は「3〜5行×2段落」程度に整理
- 表・箇条書き・図を効果的に使う
- 数値は丸めすぎず、見やすい範囲で正確に
文章を整えることで、計画書全体の説得力を高めやすくなります。
ストロングポイント(強み)を明確にし、他社との差別化を示す
民泊は競合が多く、一般的な説明では、計画の特徴が伝わりにくくなる場合があります。事業計画書において、差別化ポイントの明示は非常に重要です。
強みとして書きやすいポイント例
- 立地(駅近、観光地へのアクセス)
- 価格優位性
- サービスの独自性(体験プログラムなど)
- 長期滞在設備の充実
- セルフチェックインで利便性向上
- 多言語サポート
- 清掃品質の高さ(外注管理体制の明確化)
悪い例 「快適な宿泊環境を提供します。」 → 抽象的で差別化にならない 良い例 「駅徒歩5分の立地と、地域観光協会と連携した体験型プログラムを強みに、競合とは異なる宿泊価値を提供します。」
強みをひとつでも明確にできると、計画書の印象を変える要素になります。
数字には必ず根拠を持たせる("なんとなく"の予測は説明が難しい)
民泊事業で最も見られるのが、稼働率・客室単価・売上予測の根拠です。根拠のない数字は、金融機関において慎重に確認されるポイントです。
NG例 「稼働率80%を見込みます」 → 高すぎて信用されない 改善例 「近隣の競合5件の平均稼働率(AirDNA等で調査)が63%のため、創業当初は50%、軌道に乗った後は65%を想定。」
根拠を持たせる際に使える情報
- OTA(Airbnb、Booking.com)の周辺価格・稼働率
- 観光庁データ
- 近隣ホテルの平日/週末単価
- 地域イベントによる需要
数値にエビデンスを示すことで、計画書の信頼性を説明しやすくなります。
オペレーション(鍵・清掃・トラブル対応)を具体的に書く
民泊の審査で特に重視されるのは、運営リスクをどう管理するかです。
以下を明確にすると審査が通りやすくなります:
- チェックイン方式(スマートロック等)
- 本人確認の流れ
- 清掃の外注有無と品質管理方法
- 問い合わせの対応体制(24時間かどうか)
- 近隣トラブル防止策
良い例 「清掃は週3回、外注業者がチェックリストに基づいて実施し、終了後は写真報告を受け、管理者が遠隔確認を行う。」
具体的なオペレーションは、事業内容を具体的に説明する材料になります。
リスクを正しく書き、対策までセットで記載する
リスクを書くことを懸念する声もありますが、金融機関は逆で、リスク認識の有無について、慎重に確認される傾向があります。
書くべき代表的なリスク
- 稼働率の低迷
- 規制変更(自治体条例の強化など)
- 清掃業者の品質ばらつき
- 災害・感染症の影響
- 口コミ評価の低下
書き方の例 「稼働率低迷のリスクに対しては、OTAの掲載を複数化し、SNS広告・Googleマップ対策を継続的に行う。」
リスクとセットで「対策」が書かれている計画書は、計画内容を整理して伝えやすくなります。
民泊事業を検討するうえで事業計画書を戦略的に整理することの重要性
民泊事業は、参入のハードルが比較的低い一方で、運営の難易度は決して低くありません。稼働率の波、地域ごとの規制、清掃品質の維持、近隣トラブル、口コミ評価の影響など、現場では多くの課題が発生します。
だからこそ、開業前の段階で「戦略的な事業計画書」を作り込んでおくことが、成功に向けた一つの有効な手段です。
戦略的な事業計画書がもたらす3つの効果
1. 事業の方向性を整理しやすくなる
計画書を作成する過程で、ターゲットの明確化、競合との差別化、稼働率・単価の根拠整理、清掃・鍵管理などの運営設計、必要資金と収支の把握といった重要要素が具体化され、運営開始後の判断軸を整理する設計図になります。
2. 融資・補助金の審査において、説明がしやすくなる
金融機関は、数字の信頼性、返済能力、リスク管理、運営体制の実現可能性を総合的に評価します。
適切な根拠や具体的なオペレーションが書かれた計画書は、事業内容について理解を得やすくなり、審査時の判断材料として整理されます。補助金申請においても、プランの実現性が高いほど採択されやすくなります。
3. 長期的な経営判断の基準を持てる
事業計画書は作って終わりではなく、運営開始後も定期的に見直すことで、数値の改善点、サービスのアップデート、価格の適正化、集客施策の強化といったPDCAの中心軸となります。
競合状況や市場変化に応じて計画をアップデートすることで、民泊事業を長期的に運営するための検討材料になります。
資金調達が必要な場合は、最適な手段を組み合わせることが重要
民泊の初期費用は大きく、開業までの資金確保は多くの人が検討するポイントです。銀行融資・政策公庫・補助金・家族からの借入など、手段はいくつかありますが、それぞれにメリット・デメリットがあります。
特に、ノンバンク融資は審査が柔軟でスピードも早いため、「銀行融資に通らない」「自己資金が少ない」という人にとって選択肢の一つとして検討されます。
記事内でも紹介しているセゾンファンデックスの不動産投資ローンのように、民泊用途で利用できるケースもあるため、資金戦略とあわせて検討の対象となります。
まとめ:最初の一歩を「計画」から始めることが成功への近道
民泊事業において意識されるポイントとして、「運営を始める前に、どれだけ具体的に計画を描けているか」です。
- 事業の方向性
- ターゲット設定
- 差別化戦略
- 実務オペレーション
- 資金計画
- 収支見通し
- リスク管理
これらを丁寧に書き込んだ事業計画書は、民泊開業時の参考資料となり、安定的な経営を後押しします。万全な事業計画と、適切な資金調達戦略を組み合わせることで、民泊事業を進める際の検討事項を、開業前に整理することができるでしょう。

