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不動産投資の利回り「最低ライン」を徹底解説!物件タイプ別の相場と失敗しない設定方法
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| 執筆者氏名 | 「お金のトリセツ」編集部 |
|---|---|
| 所属 | セゾンファンデックス |
| 執筆日 | 2026年02月03日 |
目次
不動産投資においてよく見られる失敗の一つが、「自分なりの『利回りの最低ライン』を決めずに物件を購入してしまうこと」です。
「利回りは高ければ高いほど良い」と考えていませんか? あるいは「低くても安定していれば安心」と考えている方もいるかもしれません。
利回りの適切な水準は、物件の種類、立地、築年数、融資条件、管理コスト、税金などを総合的に判断して考える必要があります。こうした条件を踏まえ、「一定の水準を下回る場合は慎重に検討する」という基準を持つことが、投資判断に大きく影響します。
この記事では、曖昧になりがちな「利回りの基準」について、最新の市場データや具体的な計算式をもとに整理します。「結局、どの程度の利回りを目安に考えればよいのか?」という疑問について、考え方の整理を行います。
不動産投資における利回り「最低ライン」の目安
まずは、投資判断の目安となる考え方から整理します。以下は全国平均ベースの参考値ですが、こうした水準感を把握しておくことで、判断の精度を高めることができます。
狙うべき利回りの目安(全国平均)
| 利回りの種類 | 最低ラインの目安 | 理由・意味 |
| 表面利回り | 5〜6% | 管理費・修繕費・空室損失などを考慮した場合に、一つの目安となる水準です。 |
| 実質利回り | 3〜4% | 諸経費を差し引いた後の収益性を示す指標です。3%を下回る場合、キャッシュフローに余裕がなくなるケースもあります。 |
| イールドギャップ | 2%以上 | 「実質利回り - 金利」を示す指標で、借入返済後に一定の余力が残るかどうかを判断する目安になります。 |
物件タイプによって目安となる水準は異なる
上記の数値はあくまで平均的な目安です。実際には、物件のタイプやエリアによって、許容できる水準は大きく変わります。
① 都心の区分マンション:表面利回り 3.5〜4.5%前後でも検討対象となるケース
一見すると低く見えますが、以下のような特性があります。
- 安定した入居需要: 駅近・利便性の高い立地が多く、空室リスクが比較的低い傾向
- 資産価値の保全: 需要が安定しており、売却時の価格変動が比較的緩やか
- 出口戦略を描きやすい: 買い手が見つかりやすく、現金化しやすい。
② 地方の一棟アパート:表面利回り 8〜10%前後が一つの目安
地方物件では、都心物件と比べて高めの利回りが求められるケースが多く見られます。
- 賃貸需要が限定的になりやすい: 一度空室になると埋まりにくい。
- 修繕負担が大きい: 建物全体の修繕コストを考慮する必要がある
- 売却の難易度: 買い手が限られるため、高い利回り(インカムゲイン)を重視した回収計画が求められる場合がある。
なぜ「最低ライン」を死守すべきなのか?
「利回りはやや低いものの、物件の状態が良いから」といった理由で基準を下げて判断する場合には、慎重な検討が必要です。最低ラインを下回ると、以下のような状況につながる可能性があります。
- 手残り(キャッシュフロー)に余裕がなくなりやすい
- 家賃の下落、たった1ヶ月の空室、想定外の給湯器故障などが発生しただけで、年間の収支が不安定になりやすい。
- 次の投資に向けた資金余力が確保しにくくなる
- 黒字実績を積み上げられないため、金融機関からの評価が下がり、新たな融資を受けにくくなります。
- 売却時の条件が厳しくなる場合がある
- 購入時に利回りが低い物件は、次に買う人にとっても魅力を感じにくいため、売却時に価格を大幅に下げざるを得なくなることがあります。
重要:最低ラインは、収支悪化を防ぐための重要な判断基準の一つと位置づけて考えることが大切です。
不動産投資の「3つの利回り」を正しく理解する
不動産投資には「表面利回り」「実質利回り」「想定利回り」の3種類があります。それぞれの計算式と意味を理解し、数値を正しく理解できるようにしましょう。
① 表面利回り(グロス)
物件価格に対する家賃収入の割合です。もっとも単純な指標ですが、経費が含まれていないため、実態とは差が生じる場合があります。
表面利回り(%)=
年間の家賃収入 ÷ 物件価格 × 100
計算例:6,000万円のアパートで年間家賃収入が500万円の場合
→ 約8.3%(500万円 ÷ 6,000万円 × 100)
② 実質利回り(ネット)【最重要】
維持費や購入時の諸経費を考慮した、現実的な収益性を示す指標です。投資判断では、この数値が重視されます。
実質利回り(%)=
(年間の家賃収入 − 年間の維持費) ÷(物件価格 + 購入時の諸経費)× 100
- 年間の維持費: 管理委託料、固定資産税、光熱費、修繕費、火災保険料など
- 購入時の諸経費: 仲介手数料、登記費用、不動産取得税、融資手数料など
計算例(先ほどの6,000万円アパートの場合):維持費が年100万円、購入諸経費が400万円かかるとすると……
(500万円 − 100万円) ÷(6,000万円 + 400万円)× 100= 約 6.3%
表面利回り8.3%だった物件が、実質では6.3%まで下がります。この差を認識することが重要です。
③ 想定利回り
空室がある物件において、「もし満室になったらこれくらい」と仮定した利回りです。あくまで「ポテンシャル」であり、満室にするためのコストやリスクは考慮されていない点に注意が必要です。
データで見る利回り相場:タイプ・築年数・エリア別
では、実際の市場ではどのような利回りで取引されているのでしょうか? 不動産投資情報サイト「健美家(けんびや)」のレポート(2024年4月〜6月期)をもとに解説します。
① 物件タイプ別の傾向
| 物件タイプ | 表面利回り平均 | 価格平均 | 特徴 |
| 一棟アパート | 8.15% | 7,767万円 | 木造が多く建築コストが低いため、利回りは高めに出やすい。 |
| 一棟マンション | 7.68% | 1億8,245万円 | RC造などが多く物件価格が高い。耐用年数が長いのがメリット。 |
| 区分マンション | 6.86% | 1,994万円 | 手頃だが、管理費・修繕積立金が高く、実質利回りは下がりやすい。 |
② 築年数別の傾向(築年数と利回りの関係)
築年数が経過すると建物価値が下がり物件価格が安くなるため、表面利回りは上昇します。
| 築年数 | 区分マンション | 一棟マンション | 一棟アパート |
| 10年未満 | 4.30% | 5.03% | 6.34% |
| 10年〜20年 | 4.64% | 6.50% | 7.46% |
| 20年以上 | 7.64% | 8.22% | 9.51% |
注意点: 築20年以上の物件は高利回りに見えますが、設備の老朽化や大規模修繕リスクが高いため、数字以上の出費を見込んでおく必要があります。
③ 地域別の傾向(エリアによる利回り傾向)
- 首都圏(利回り 6〜7%台): 物件価格が高いため利回りは低いですが、資産価値が高く、空室リスクは低めです。
- 地方・郊外(利回り 10〜15%台): 北海道、東北、信州・北陸などは利回りが非常に高い傾向にあります。これは「価格の安さ」と「リスクの高さ(空室・出口戦略の難しさ)」の裏返しです。
【実践編】あなただけの「最低ライン」を導く計算式
一般的な相場がわかったところで、あなたの投資計画に合わせた「最低ライン」を計算しましょう。初心者の多くはこの計算を飛ばしてしまい、情報だけで判断してしまうケースがあります。以下の式を使って、必ずご自身で計算してください。
自分専用「必要利回り」の計算式
必要利回り(実質)=
(金利コスト + 維持費 + 修繕費 + 空室損 + 税金 + 安全マージン) ÷ 物件価格
具体的な計算シミュレーション
【条件】価格2,000万円の中古区分マンション
- 金利コスト: 1.5%(年間30万円)
- 維持費: 年間40万円
- 修繕リスク: 年間12万円(月1万積立)
- 空室リスク: 年間1ヶ月分(約8%)
- 税金: 年間8万円
これらを合計すると、コストだけで年間約90万円以上かかります。これに「手元に残したい利益(安全マージン)」を加えると、「実質利回りで3.0〜3.5%」が、この投資家にとって一つの目安となる最低ラインとなります。
利回り以外にチェックすべき「重要指標」
利回りという数字だけに依存しないために、以下の指標も合わせて確認されることが一般的です。
イールドギャップ(YG)
「物件の実質利回り - 銀行の借入金利」
この差(ギャップ)は、利益水準を判断するうえで重要な指標の一つです。
- 目安:2.0%以上
- 利回りが高くても、金利が高い(4〜5%など)場合、手元に資金が残りにくくなります。金利上昇リスクに備えるためにも、十分なギャップが必要です。
キャッシュフロー利回り(CCR)
「自己資金に対して、年間いくら現金が戻ってくるか」
実際の手残り(キャッシュフロー)に着目した指標です。新築時は2%以上が目安とされます。
エリアの需給バランス
数字上の利回りが良くても、「単身者が多いエリアにファミリー向け物件を建てていないか?」「学生需要に依存しすぎていないか?」といった需給バランスの確認は必須です。
「表面利回り」を過信してはいけない:シミュレーション例
表面利回りだけで判断した場合にどのような影響が出るのか、具体的な数字で見てみましょう。
【物件例】価格5,000万円、年間家賃収入300万円
- 表面利回り:6.0%これだけ見ると魅力的に思えるかもしれません。しかし、現実は……
- 実際の経費(想定):
- 固定資産税・都市計画税:75万円
- 管理費・修繕積立金:60万円
- 空室損失(1ヶ月):30万円
- 経年劣化による賃料低下:15万円
- 経費合計:180万円
- 実質の手残り:300万円(収入)− 180万円(経費)= 120万円
- 実質利回り:120万円 ÷ 5,000万円 × 100 = 2.4%
表面6%だったはずが、実質は2.4%まで低下しました。ここからさらにローン返済がある場合、キャッシュフローはマイナス(持ち出し)になる可能性があります。
さらに、「事故物件」などのリスク要因があれば、収益性はもっと悪化します。表面利回りだけで判断してはいけない最大の理由がここにあります。
不動産投資で意識しておきたい4つのポイント
最後に、利回り計算と合わせて実践したい、成功のためのポイントを解説します。
① 長期的な見通しを立てる
今の利回りだけでなく、10年後、20年後を見据えましょう。
- 人口減少による家賃下落リスク
- 大規模修繕費用の発生これらを織り込んだ収支計画を立てることが、安定した経営を考えるうえでの出発点になります。
② 時代のニーズに合わせて付加価値をつける
利回りを上げるには家賃アップが有効ですが、ただ上げるだけでは入居者は離れます。
- 設備投資: 無料Wi-Fi、宅配ボックス、スマートロックの導入
- リノベーション: インターホンをカメラ付きにする、温水洗浄便座をつけるこうした付加価値を提供することで、家賃維持・向上が狙えます。
③ 「余裕のある返済計画」で融資を受ける
融資条件は、投資結果に大きく影響する要素の一つです。以下の2つのケースを比較してみましょう。
【比較】6,000万円の物件購入(実質年収384万円と仮定)
- ケース1:余裕のない計画(返済期間20年)
- 年間返済額:約329万円
- 返済比率:約85.7%
- 結果:手残りはわずか。突発的な修繕費が出た場合、収支が悪化しやすくなります。
- ケース2:余裕のある計画(返済期間30年・自己資金増)
- 年間返済額:約212万円
- 返済比率:約55.2%
- 結果:収入の約45%が手元に残るため、修繕費や空室にも耐えられる。
家賃収入に対する返済比率は50%以下を目指しましょう。返済期間を長く取ることで、毎月のキャッシュフローにゆとりが生まれ、経営の安全性が高まります。
④ 空室リスクや思わぬ出費に備える
実質利回りの計算には含まれない「突発的な出費」に備え、家賃の一部を常に積み立てておく資金管理も重要になります。自然災害や、近隣の商業施設撤退などの外部要因リスクも頭に入れておきましょう。
④ 空室リスクや思わぬ出費に備える
まとめ:その物件、あなたの「基準」を本当に超えていますか?
不動産投資の利回りに「万人に共通する正解」はありません。一方で、判断の参考となる考え方は存在します。
- 相場を知る: 表面5〜6%、実質3〜4%が一つの基準。
- 自分の数値を計算する: 金利・修繕費・税金を含めた「実質利回り」を必ず算出する。
- 指標を複合的に見る: イールドギャップ2%以上、キャッシュフローの黒字確保を確認する。
- 長期視点を持つ: 修繕費の将来負担や家賃下落、出口戦略まで描いておく。
「なんとなく良さそうだから」ではなく、計算上の根拠をもとに判断できること。そのように判断できた場合、検討を進める一つのタイミングといえるでしょう。ご自身の投資スタイルとリスク許容度に合わせた“最低ライン”を設計し、堅実な資産形成を実現してください。
次の一歩:より有利な融資条件を探すなら
「物件は良いけれど、金利が高くて最低ラインをクリアできない」「築古物件のため銀行の融資がつかない」
こうした悩みは、融資条件の選択肢を広げることで突破できる場合があります。
セゾンファンデックスの「不動産投資ローン」
一般的な銀行では敬遠されがちな「築古物件」や、収入・借入枠などに課題がある場合でも、柔軟に対応できる可能性があります。
- 融資期間:最長30年(キャッシュフローが安定しやすい)
- 担保評価の柔軟性:複数不動産を担保にすることでフルローンも可能
- 銀行審査で断られたケースでも、融資できる可能性あり
投資効率を高めるうえで、「どこから借りるか」も投資戦略の一部です。ご自身の投資計画を一歩前に進めるための選択肢として、ぜひ検討してみてください。

