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築古物件投資のメリットとは?デメリットや成功の秘訣も解説
不動産投資は安定した収入が期待できる一方、多額の資金を必要とすることから、失敗した場合には大きく資産を減らす可能性があるので注意が必要です。この記事では、築古物件とは何か、築古物件投資のメリット・デメリット、向いている人などについて解説します。
築古物件の基本情報と新築物件のメリット・デメリット
物件選びは不動産投資成功を左右すると言っても過言ではありません。その際、物件種別や立地のほか、築年数も重要なポイントです。
ここでは、築古物件と新築物件について詳しく解説します。
築古物件とは?
築古物件とは、建築から年数がかなり経過した物件のことを指します。法的に明確な定義はありませんが、不動産業界では築古物件の目安をおおむね建築から30年以上としていることが多いようです。
築古物件と中古物件は全くの別物であることに注意が必要です。中古物件は新築ではない物件のことを指します。人が一度入居した物件は築年数に関係なく中古物件に該当します。
新築物件のメリットとデメリット
新築物件とは、建築されてから1年未満で誰も入居したことのない物件です。1年以上経過した物件は、新築物件とは表記できません。この場合は、未入居物件と表記されます。
また、築年数が1年未満であっても、人が一度入居して後に売り出された物件の場合も、新築とは表記できません。この場合は、築浅物件と表記されます。
新築物件と表記できるのは、建築から1年未満で、誰も入居していないという条件を満たした限られた物件です。新築物件で不動産投資を始めることにはどんなメリットやデメリットがあるのでしょうか。
新築物件のメリット
新築物件で不動産投資を始めるメリットとして、以下の2つが挙げられます。
- 維持コストがかかりにくい
- 高い入居率が見込める
不動産投資では、経年劣化に応じて修繕が必要になります。新築物件の場合は、劣化がほとんど進行しないため、突発的なトラブルが発生しない限りは維持コストが基本的にかかりません。
また、最新設備が導入されている、新しくてきれいといった理由から、入居希望者が多く、高い入居率が見込めます。安定した収益が期待できる点が新築物件投資のメリットと言えるでしょう。
新築物件のデメリット
新築物件で不動産投資を始めるデメリットとして、以下の2つが挙げられます。
- 多額の資金が必要になる
- 完成までは家賃収入が得られない
相続した土地や所有する空き地などに新築する場合は資金を抑えられますが、土地購入から始める場合は多額の資金が必要です。
仮に不動産投資ローンを契約して新築した場合には、不動産投資ローンを契約した翌月から返済が始まるものの、家賃収入を得られるのは完成後なので自己資金から返済しなくてはなりません。資金繰りが難しい点が新築物件のデメリットと言えるでしょう。
築古物件へ投資するメリット
築古物件への投資を始めてから後悔しても手遅れです。後悔しないためにも、事前に築古物件へ投資するメリットとデメリットを把握し、投資を始めるべきかどうかを慎重に判断することが大切です。
築古物件へ投資するメリットとして、以下の5つが挙げられます。
- 安く購入できる
- 高利回りが望める
- 居住面積が広い傾向にある
- 減価償却によって節税につながる
- 資産価値が下がりにくい
まずはメリットを詳しく説明していきます。
安く購入できる
賃貸物件の建物の部分は築年数の経過とともに経年劣化によって資産価値が減少します。土地は経年劣化という概念がないため、築年数の経過によって資産価値は減少しません。
そのため、築古物件は築年数によっては建物の価値がほとんどなく、土地の価格だけで購入できるケースもあるため、お得に賃貸物件を取得できる可能性があります。
高利回りが望める
築古物件でのアパートやマンションなどの賃貸経営では、高利回りの運用が望めます。その理由は、不動産の価格の値下がりに対して家賃の値下がりの割合が低いためです。
高利回りであるということは、資金に対して得られる利益が多いということなので、効率良く資産を増やせるでしょう。
居住面積が広い傾向にある
築古物件は土地にゆとりがある時代に建てられた、建築基準法が厳しくなる前に建てられた物件が多く、居住面積が広い傾向があります。
コロナ禍で働き方が変化したことによってテレワークのように在宅で勤務する方も増えており、居住面積が広い物件の需要が高まっています。時代のニーズに合った物件を貸し出すことで高い入居率を維持できるでしょう。
減価償却によって節税につながる
減価償却とは、建物の経年劣化による資産価値の減少を経費として計上できる仕組みです。築古物件の場合は、減価償却期間が短く設定されるため、1回に計上できる経費が大きくなります。
築古物件であれば新築物件よりも1回に多くの経費を計上できることから、不動産所得に対して課される所得税の負担を軽減できるでしょう。
資産価値が下がりにくい
新築時の賃貸物件には、建物の本体価格に建築会社の利益が上乗せされています。売却する際は、建築会社の利益を除く建物の本体価格の経年劣化による資産価値の減少を反映して価格が決まるため、最初の資産価値の下落が大きいです。
経年劣化による資産価値の減少は築年数の経過とともに緩やかになります。そのため、築古物件は購入時の価格が安いだけでなく購入後の資産価値が下がりにくいため、売却時にも有利に売却しやすいでしょう。
築古物件に投資するデメリット
築古物件に投資するデメリットとして、以下の4つが挙げられます。
- 修繕費用がかかる
- 融資が難しいケースも
- リフォーム費用がかかる
- 契約不適合責任を負うリスクが高まる
続いてデメリットを詳しく解説していきます。
修繕費用がかかる
新築物件とは違い、築古物件は経年劣化が進行しているため、頻繁に修繕が必要になります。
耐用年数を迎える設備も多く、何かと修繕費用がかかりやすい点に注意が必要です。
収支計画に支障が生じる可能性があるため、どのくらいの修繕費が発生するのかをしっかり把握してから築古物件の運用を始めましょう。
融資が難しいケースも
築古物件は資産価値が新築物件よりも低いです。資産価値が低いということは担保価値が低い、安定した収入が期待しにくいといった印象を与えます。そのため、融資を実行してくれる金融機関は限られ、融資を受けられたとしても融資額が低くなる点に注意が必要です。
融資が受けられない、融資額が低くて資金が足りないなどの悩みを抱えている方には、セゾンファンデックスの不動産投資ローンがおすすめです。
セゾンファンデックスでは、法定耐用年数を超えた物件でも融資を行っています。すでに所有されている投資用不動産や、ご自宅、ご親族所有の不動産を共同担保に設定することも可能です。築古物件の投資を開始するにあたってローンにお悩みの方はぜひご相談ください。
リフォーム費用がかかる
築古アパートや築古マンションなどの賃貸物件では、設備が古い、間取りが現在の需要に合っておらず、それが原因で入居率が低くなっている築古物件も少なくありません。
入居率を改善する、劣化を原因とするトラブルを回避するには、リフォームやリノベーションなどが必要です。リフォームやリノベーションには、多額の資金がかかります。
築古物件の状況によっては、購入時に多額の費用がかかる可能性があるので注意が必要です。
契約不適合責任を負うリスクが高まる
契約不適合責任とは、売却した賃貸物件に何らかの不具合があった場合に売主が負わなくてはならない責任です。もし、賃貸物件に不具合があった場合は、買主は売主に修補請求、代金減額請求、契約解除、損害賠償などを請求できます。
築古物件は経年劣化が進行しており、何かしらの不具合が潜んでいる可能性が高いです。そのため、契約不適合責任を負う可能性が高いという点に注意してください。
築古物件投資が向いているのはどんな人?
築古物件投資は以下のような方に向いています。
- 不動産投資初心者
- 比較的先が読める投資をしたい方
- 融資額を抑えたい方
それぞれの向いている方について詳しく見ていきましょう。
不動産投資初心者
築古物件投資は、購入費用が安く利回りが高いのが特徴です。利回りが高いということは、それだけ投資金額を早く回収できるということなので、リスクを抑えられる点が強みです。
また、入居者がいる状態で運用を開始でき、購入直後から家賃収入をすぐに得られるため、不動産投資初心者に向いているでしょう。
比較的先が読める投資をしたい方
株式投資やFXなどの資産運用の手段もありますが、株価変動や為替変動を先読みすることは容易ではありません。築古物件投資は、既に入居者がいる状態であれば、運用開始後にどのくらいの家賃収入を得られるか予想しやすいです。
また、修繕による支出もある程度は予測できます。そのため、将来が読めずに不安という方には、比較的先が読める投資を行える築古物件投資が向いているでしょう。
融資額を抑えたい方
築古物件投資は新築物件投資よりも運用開始時にかかる費用を抑えられるのが特徴です。そのため、自己資金が足りない方や融資額を少しでも抑えたい方には、築古物件投資が向いています。
多くの自己資金を拠出した、融資額が大きいと、運用がうまくいかなかった場合におけるダメージが甚大です。リスクを抑えながら投資を開始できる点が築古不動産投資の強みでしょう。
築古物件投資を成功させる秘訣とは?
築古物件投資を成功させるには、以下のポイントを押さえておくことが大切です。
- 築古物件投資について勉強する
- 購入エリアの調査
- 購入前に物件をチェック
- リフォームや修繕について学ぶ
- 大規模修繕工事のタイミングの調査
- 出口戦略を練っておく
それぞれのポイントを詳しく説明していきます。
築古物件投資について勉強する
築古アパート経営や築古マンション経営などの賃貸経営は、不動産会社のサポートが受けられると言っても最終的な判断はオーナーがしなくてはなりません。
不動産会社の意見を鵜呑みにして失敗、助言を無視して失敗したということを回避するためにも、築古物件投資や不動産投資全体の知識をしっかり身につけておくことが大切です。
購入エリアの調査
築古物件投資では、どのような築古物件を選んでも良いというわけではありません。安定した収益が期待できる築古物件を選択することが成功の秘訣であるため、購入エリアの調査を事前にしっかりすることが大切です。
例えば、エリアの賃貸需要が高いのか、相場と比べて価格がどうなのか、需要の高い間取りかどうかなどです。これらを事前に確認しておけば、リスクを抑えながら築古物件投資を始められるでしょう。
購入前に物件をチェック
購入してからトラブルが発生した場合、無駄な支出が生じたり、入居者の不満が募ってしまうことになったりするので、購入前に物件調査をしっかりと行うことが大切です。
建物の不具合の有無、入居者トラブルの有無などを事前に確認しておけば、購入後のトラブルを回避できるでしょう。
リフォームや修繕について学ぶ
不動産投資での失敗を防ぐには、どのくらいのリフォーム費用や修繕費用がかかるのかを把握しておくことも大切です。支出がいくらくらいなのかを把握しないまま、得られた家賃収入を全て使ってしまった場合には、いざリフォームや修繕が必要になっても資金不足で実施できない可能性があります。
高い入居率を維持しながら安定した家賃収入を得るには、リフォームや修繕などを行うことが欠かせないため、支出を把握し、収支計画をしっかり立てておきましょう。
大規模修繕のタイミングの調査
大規模修繕とは、設備の耐用年数が重なりやすい12〜15年周期で実施される修繕工事のことです。大規模修繕工事をしっかり実施することによって、資産価値が向上したり、トラブルを未然に防いだりできます。それにより、売却時に価格が高くなる、入居者の満足度が向上するといった効果が期待できます。
しかし、大規模修繕工事の金額はかなり高額です。費用を積み立てていないと、予算不足で工事を行えないため、大規模修繕工事のタイミングに向けて計画的に費用を積み立てましょう。
出口戦略を練っておく
築古物件投資を開始する際は、出口戦略を練っておく必要があります。出口戦略とは、運用を開始した築古物件を最終的にどうするかということです。
築年数があまりにも経過した築古物件は、リスクが高いという理由でそう簡単には売れないことが多いです。そのため、数年運用してから売却してトータル収支のプラスを目指す、立地が良い場合は建物を解体してから建て直すといった出口戦略を練る必要があります。
出口戦略はあらかじめ練っておかなければ、すぐには行動に移せないため、事前にしっかり出口戦略を練ってから築古物件投資を始めましょう。
おわりに
築古物件投資は、物件購入価格が安く、取得してすぐに家賃収入を得られることから、初めて不動産投資を始める初心者向けの不動産投資と言えます。
しかし、初心者向けと言っても、不動産投資の成功が保証されているわけではありません。知識を身につけずに築古物件投資を開始した場合は、不動産会社の指示を鵜呑みにすることによる失敗、適切な判断ができないことによる失敗などで資産を減らす可能性があるので注意が必要です。
築古不動産投資を成功へと導くためにも、知識をしっかり身につけてから運用を開始しましょう。