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鉄筋コンクリートの分譲マンションでも地震保険の加入は必要でしょうか?
ご質問
分譲マンションを購入したときに火災保険に加入しましたが、最近ニュースを見ていると地震保険にも加入したほうが良いのではないかと思うことがあります。
しかしマンションなので、自分の居住部分以外は管理組合が保険に加入してくれています。また建物は鉄筋コンクリート造りで丈夫ですし、自分の居住部分だけ地震で損害を受けることは考えにくいため、地震保険に加入する必要性は低いのではないかと感じています。
分譲マンションに住んでいるときの地震保険の必要性や、選び方のポイントについて教えてください。
年齢:48歳
職業:会社員
世帯年収:800万円
ペンネーム:くろねこ
専門家の回答
地震保険は単独での契約はできず、必ず火災保険に付帯する形で加入する必要があります。つまり、まず火災保険に加入し、その上で地震保険をセットで付帯させる契約となります。地震保険単体では契約できないので、この点にご注意ください。
しかし損害保険料率算出機構によると、その年に契約した火災保険のうち、地震保険もセットした契約の割合は2022年度で62.7%。地震保険の加入件数を、住民基本台帳に基づく世帯数で割って算出した世帯加入率は、29.4%です。
日本は国土面積の割に大きな地震が発生する割合が多いため、地震国とも言われますが、それでも地震保険に加入していない方は一定数いらっしゃいます。
理由として、地震保険は火災保険に比べて保険料が高い傾向があること。また地震保険に加入しても、基本的に火災保険の最大50%までしか受け取れないことから、地震が起きたときは貯蓄で備えておけば良いと考える方も一定数いるためと考えられます。
しかし相談者さまのように鉄筋コンクリートの分譲マンションに住んでいるため、地震によるリスクが低いと感じている方もいるでしょう。
マンション特有のリスクとして、他の住戸の被害が自身の住戸に影響する可能性があります。この場合損害の状況にもよりますが、個人で加入する地震保険で対応可能と考えられます。
エントランスやエレベーターといった共用部分の被害、マンション全体の傾きや沈下のリスクも考えられます。この場合は、マンションの管理組合が加入している地震保険で対応することになるでしょう。
ただし管理組合が地震保険に加入しているかは実際に確認してみないと分かりません。不安なときは、地震保険に加入しているか管理組合に問い合わせてみましょう。
地震保険に加入していなかったり、保険金額が十分でなかったりした場合、修繕積立金を使って修理をすることになります。修繕積立金が不足していると、十分な修繕ができない可能性があるため、積立状況についても確認が必要です。
また地震保険に加入していないと、地震を原因とした火災などの損害が補償されません。仮に火災で壁や床などに損害が生じたとしても、火災の原因が地震の場合、地震保険に加入していなければ補償されないため注意が必要です。
地震保険の保険料は、以下の3つの要素で決まります。
- 建物の構造
- 建物の耐震性能
- 建物の所在地
一般的に、鉄筋コンクリートのマンションにお住まいであれば、木造のお住まいよりも安い保険料で加入できる可能性があります。あとで地震保険に加入しておけば良かったと後悔することがないよう、一度、見積もりなどを確認して検討してはいかがでしょうか?現在、長期の火災保険に加入している方は、中途加入もできます。
なお、地震保険は国と民間の保険会社が共同で運営しているため、一般的にどこの保険会社で加入しても補償内容や保険料は同じです。また、地震保険の保険期間は最長5年で、まとめて支払ったほうが保険料総額は安くなる傾向があります。
損害保険料率算出機構「2022年度火災保険・地震保険の概況」によると、保険期間1年を選ぶ方が最も多く、次いで5年契約となっています。保険期間満了した後も、必要であれば地震保険の継続も可能です。
さらに地震保険は、その年に支払った保険料の金額に応じて地震保険料控除が受けられ、お勤めの方は年末調整、個人事業主は確定申告をすることで、所得税や住民税が軽減される場合があります。